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スマートグリッドがけん引する米国HEMS市場
米国のエネルギー管理はスマートメーターやAMIをベースに進展

[2011/04/21]

 消費者向けの省エネルギー化や低炭素化のツールとして、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)の普及が期待されている。米国では、HEMSもスマートグリッドがけん引して関連市場が成長すると見られる。
 日本では、電機メーカーや住宅メーカーがそれぞれ自社の独自技術としてHEMSを開発する場合が多い。一方、米国ではHEMSもスマートグリッドに統合された技術として開発が進められている。そのベースとなっているのは、スマートメーターを含むAdvanced Metering Infrastructure (AMI)である。低消費電力の近距離無線通信規格「ZigBee」や電力線通信規格「PLC」などにより、スマートメーターやスマート家電と双方向通信を行うHEMS機器や宅内ディスプレイ(In-Home Display: IHD)、関連ソフトウェアなどの開発が各社で活発に進められている(図1)。

図1
米国企業の開発したHEMSの宅内ディスプレイ機器
(テクノアソシエーツが撮影)

左上=米Wireless Glue Networks社製
左下=米Control4社製
右上=米Cisco Systems社製

HEMS/IHDがホームエリアネットワーク(HAN)の中心に
 スマートメーターがまだほとんど導入されていない日本では、電力消費データの収集を行うセンサー機器もHEMSの一部となっている。配電盤に電力測定用センサー機器を設置し、専用のモニターやディスプレイでデータを表示する形式のシステムが多い。一方、米国では電力消費データの収集は、スマートメーター(電力計)が行う。HEMSは、ZigBeeやPLCなどの通信経路を経由してスマートメーターから電力消費データをほぼリアルタイムで収集し、IHDに表示したり、連携したスマート家電の制御を行ったりする。
 このように米国のHEMSでは、IHDを中心としてスマートメーターやスマート家電から電力消費データを収集し、スマート家電の制御などを行うホームエリアネットワーク(HAN)が構成される。さらに、HEMSと連携する形で、ウェブ上のポータルサイトが用意される場合が多い。パソコンやスマートフォンで自宅や出先で電力消費状況の確認を行ったり、スマート家電機器の制御を行ったりすることが可能となっている。

参入企業が増え競争が激化する米国のHEMS市場
 市場規模の大きさや将来の成長性から、米国でHEMS市場に参入している企業は多い。ベンチャー企業である米Control4社や米EnergyHub社、米iControl社、米People Power社、米Wireless Glue Networks社、デマンドレスポンスのサービスも行う米Comverge社、シリコンバレーの代表的なIT系企業である米Cisco Systems社や米Google社など、HEMS市場には関連分野から様々な企業が参入している。
 当然、競争も激化している。米Grid Point社のように、HEMS機器自体の開発や製造から撤退した企業もある。同社は、HEMS機器の開発や販売から、技術ソリューションの受託開発型ビジネスモデルに転換した。また、消費者側の反応もまだ今一つというのが現実である。話題や期待が先行する一方で、HEMSの機器やサービスから着実に収益をあげている企業はまだ数少ないのが実情だ。

HEMS成功のカギは行動科学とビジネスモデル
 当面、HEMSやIHDを開発、販売する企業は、資本力の乏しいベンチャー企業であればスポンサーとなる大手の電力事業者を顧客として抱えていない限り事業の継続が困難な状況にある。例えば、Control4は米Xcel Energy社(米国中部各州)、Wireless Glue Networksは、米Pacific Gas & Electric社(カリフォルニア州)、EnergyHubは、米Con Edison社(ニューヨーク州)、といった具合に、各社とも顧客となる大手電力事業者との太いパイプを持っている。それでもスマートグリッドが実証試験の段階から本格導入へと移行しつつある米国では、いずれ「Best Buy」などの家電量販店でHEMS機器やスマート家電が普通に販売されるようになると期待されている。
 そこで、HEMS事業を成功させるカギとなるのが、行動科学とビジネスモデルである。行動科学では、消費者や顧客のふるまい(行動)を研究する。HEMSの機器やソフトウェアに行動科学の手法を適用することによって、消費者が積極的に省エネルギー行動を取るように誘導できることが各企業や大学の研究開発で明らかにされつつある。また、米People Power社のように電力事業者という販売チャネルには一切頼らずに、HEMSソリューションの技術を家電メーカーに直接ライセンス供与するというビジネスモデルで成功を狙う企業もある(図2)。
 このように、HEMSに対して様々な行動科学やビジネスモデルの適用が行われる中から、スマートグリッドのアプリケーションで覇権を握る企業がやがて出現することになりそうだ。

図2 米People Power社のHEMSプラットフォーム「Energy Services Platform(ESP)」(左)と、同社創業者兼CEOのGene Wang氏(テクノアソシエーツが撮影)

 テクノアソシエーツでは、このようなHEMSの事業機会やビジネスモデルといった視点から、米国の企業事例や業界関係者のコメント、各種データを踏まえ、今後のスマートグリッドの普及と周辺ビジネスの事業性を検証し、その調査分析結果を「スマートグリッドのビジネスモデル(北米編)」としてまとめた。なお、レポート購入者特典として5月27日に開催予定の研究報告セミナーでは、レポートに掲載できなかった市場動向や技術情報、「DistribuTECH 2011」で取材した事例などについて可能な限りお話しする予定である。

(大場淳一=テクノアソシエーツ)
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