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電動化とともに業界構造が変化 それでも「日本は負けられない」
[2010/03/02]
電気自動車は,低炭素社会の象徴的な存在になりつつある一方で,自動車の業界構造を一変させる影響力を秘めている。そのような中,国として電気自動車の普及を支援しながら,業界構造の変化にどのように対応し,政策を採っていくのか,経済産業省製造産業局自動車課長の保坂伸氏に聞いた。
(聞き手は,テクノアソシエーツの朝倉博史)
―― 電気自動車の普及についてどのようにお考えですか。
関連するものとして3年前に「エネルギー需給見通し」を出しました。当時は自民党政権の下、CO2の排出量は2020年で15%削減する目標でしたが、それでも新車販売台数の半分および保有台数ベースで20%がハイブリッド車でなければ無理だという認識でした。ハイブリッド車の先に行く電気自動車がある程度普及しないとCO2の15%の削減といえどもなかなか達成できません。 民主党政権に代わり、削減目標が25%に引き上げられました。そうなると、新車販売のかなりの比率、場合によってはすべてがハイブリッド車となり、さらに電気自動車もある一定量を稼ぐ必要が出てきます。 ―― 電気自動車は日本にとってとても重要な存在になりそうですね。 それは間違いないでしょう。視点は三つあります。第1に石油代替、第2にCO2削減の問題、第3に商業性です。この三つの点で、経済性をある程度満たしていくということだと思います。では、その三つの軸のバランスをどうするかということです。もし第3の商業性だけを考えるのであれば、現状で言えば普通車と軽自動車の方が安いわけで、ハイブリッド車を買う必要が本当にあるのかということになります。今回のエコカー減税もそうですが、やはりCO2削減の問題を重視することは避けられないでしょう。さらに石油代替の観点からは、ディーゼルエンジンなり、CNG(天然ガス)車というものの位置づけも考える必要があります。 いずれにしても、この三つの視点を考慮すると、急激に電気自動車にシフトしていくということにはなりません。とはいえ、電気自動車あるいはその先の燃料電池車というのが、2015年とか2020年で考えたときに、ある程度の有力候補になってくると思います。 ―― 燃料電池車と電気自動車は、それぞれどういう位置づけになるのでしょうか? 既存のガソリン車を中心に考え、バッテリー開発も考慮すると、今の普通車の次にハイブリッド車、その先に電気自動車、さらに燃料電池車という順だと思います。それが今後5〜10年の範囲で動いていくというイメージではないでしょうか。 ―― 燃料電池車は、水素を作るところでCO2を出すと言われていますが。 そうですね。その意味では、CO2フリーの形で燃料電池をうまく作れるのかどうかという課題は当然ありますし、値段的にも一ケタ高いので、電気自動車よりもっと先にある技術だと思います。 ―― 電気自動車を普及させるにあたって、国としての政策が重要だと思いますが、どのようにお考えですか? トヨタ自動車の「プリウス」のように普通車より価格が高いハイブリッド車が国民的支持を得るようになってきているのは、皆さんがCO2にすごく敏感になってきているからです。その意味で電気自動車も国からの補助金に必ずしも頼らなければ回っていかないかというと、そうではないと思います。ただ、いま足元ではどうしてもバッテリー代が高く、価格の大半を占める状況ですから、そこの部分は補助金を出して台数を稼ぐ必要性があると感じています。 (インタビューの続きは,テクノアソシエーツ発行の調査分析レポート「EVの普及と社会システムの変貌に潜む20の仮説」でご覧いただけます) |
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