第1章:「8大相互協力」の影響
2007年5月14日,韓国産業資源部主導のもと,韓国の主要フラットパネル・ディスプレイ(FPD)メーカーが,「8大相互協力」に合意した。これにより,日本,台湾を含め,東アジアを中心に激しい競争を繰り広げてきたFPD業界に,新たな再編の波が押し寄せようとしている。本章では法的視点,契約的視点から,「8大相互協力」の実態を探る。はたして,「8大相互協力」は表層的ではなく,実体を伴った内容になりうるのか。日本企業に,どの程度の影響を及ぼすのか。そして,FPD業界のバリューチェーンにおける,今後の主導権の行方は。 |
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第2章:「FPD(LCD,PDP,OLED)に関する技術競争力の分析
韓国産業資源部の指導のもと決議された「8大相互協力」によって,日本と韓国のフラットパネルメーカーの技術競争力は,どのように変化するのか?LCD(液晶ディスプレイ),PDP(プラズマディスプレイ),OLED(有機ELディスプレイ)日韓主要パネルメーカーを引き合いに出し,各メーカーの技術力を,SBIインテクストラの特許評価・分析システム「StraVision®(ストラビジョン)」を活用して,比較分析を行なう。韓国FPDメーカー各社の技術力の結集は,これまでの日本FPDメーカーの技術優位性にどの程度の影響をもたらすのか。 |
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第3章:フラットパネル・ディスプレイ・メーカーの提携関係
FPD業界では,国境を超えた技術提携や資本提携,販売提携が日々繰り返されている。LCD,PDP,OLED主要メーカーの提携関係を,メディアでの報道記事や各社のプレスリリースなどから明らかにするとともに,各社間での共同研究の関係を,“特許”情報から探る。メディア情報からでは窺い知ることのできなかった真の提携関係はあるのか。 |
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第4章:主要部材に関する日本企業と韓国連合の技術競争力比較
最終製品であるディスプレイだけを見ていては,その実態は見えてこない。その裏にはディスプレイを構成する液晶組成物や偏光板,駆動回路技術といった要素技術が重要な役割を占める。FPD材料やFPDの構成部材は,日本企業の独壇場といわれている。しかし,今回決議された「8大相互協力」では,韓国FPDメーカーの系列を超えた部材調達や研究開発協力,特許協力が盛り込まれており,国家を上げてFPD主要部材の内製比率を高めようとする動きが見える。系列を超え,大同団結した韓国部材メーカーの影響はどの程度なのか。 日本のFPD主要部材メーカーは,現在の高いシェアを維持することができるのか。 各社の保有する技術を客観的に分析できる“特許”情報に着目し,SBIインテクストラの特許評価・分析システム「StraVision®(ストラビジョン)」を活用して,主要部材メーカーの技術競争力を比較分析する。 |
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第5章:まとめ
「8大相互協力」を採択した韓国ディスプレイ産業協会(会長:李 相浣(イ・サンワン)サムスン電子社長,副会長:権 暎寿(クォン・ヨンス)LGフィリップスLCD社長)の創立総会で,初代会長に選任された李相浣氏は,「2015年までに,韓国のディスプレイ産業の規模を現在の2倍にあたる100兆ウォン(約12兆円)台に押しあげる考え」とのビジョンを示した。はたして,日本および台湾メーカーはこれに対抗できるのか。第2〜第4章までの分析結果を踏まえ,将来のFPD業界の勢力図を予測する。 |
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