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環境・電池の技術ロードマップと利用シーンの将来像


電気自動車の充電インフラは200V単相電源を中心に普及
EV/PHVの両方で使用可,オール電化住宅も追い風に


[2010/02/04]


 「電気自動車(EV)元年」の昨年来,EVやプラグインハイブリッド車(PHV)などの次世代エコカーへの期待が高まっている。なかでも話題の一つが,EV普及のカギを握る充電インフラだ(図1)。
 EVの普及推進に積極的な神奈川県を筆頭に,各地で充電インフラの整備が次第に進みつつある。ただ,急速充電器はEVの充電を短時間で可能とする一方で,本体価格や設置費用が高額であることなどが課題となっている。一方,急速充電器ほど話題にならないが,200V単相の普通充電(倍速充電)設備は,設置費用が安いこと,EVとPHVの両方で使えること,普及が進みつつあるオール電化住宅では200V対応の機器が既に普通になりつつあることなどから充電インフラの中心になると考えられる。


図1:EV/PHVの充電方式(出典:「環境・電池の技術ロードマップと利用シーンの将来像」)
図1:EV/PHVの充電方式(出典:「環境・電池の技術ロードマップと利用シーンの将来像」)


急速充電器は高性能ながら高コストが課題
 「急速充電器は本体,設置費用が高く,高圧契約なので基本料金も8万円/月と高くなる」と指摘したのは,国内のある自動車メーカーの技術者である。実際,急速充電器は徐々に設置が進みつつあるとはいえ出荷数量がまだ少なく価格も高い。50kWの高容量出力タイプの急速充電器は,国内のメーカー数社から提供されており本体価格は概ね350万円である。また,基本料金も電力が50kW以上か50kW未満かで大きく異なる。50kW以上の場合,一般に高圧契約が必要となり,その場合の基本料金は上述の通り8万円以上となる。大企業が所有する工場や商業施設など既に高圧契約で電力を使用しているのでなければ,導入の敷居が高いのが現状だ。
 EVへの対応に取り組むサービス関連企業のある担当者も,「充電器の使用料については,タダにすることもできないし,電気代を有料にすることも考えにくい。電気代は通常タダと思われており,それをベースに投資計画を組むことは難しい。充電サービスを提供するとしても急速充電ではなく,100V/200Vの普通充電だろう。それでも,他の目的で来たついでに充電してもらうということであり,充電目的でわざわざ来てもらうものではない」という。


充電インフラ機器のメーカーも200V単相充電器への対応を強化
 このような現状を反映し,充電インフラ機器のメーカー各社も急速充電器だけでなく200V単相の普通充電器の強化を始めた。急速充電器では比較的早く市場参入していたハセテックは,先月東京ビッグサイトで開催された「第2回EV・HEV駆動システム技術展」に出展し,高容量の急速充電器と共に200V単相電圧による普通充電器を展示した(図2)。
 九州におけるEV普及に積極的な九州電力も,同社が開発した急速充電器やリチウムイオン電池,カーシェアリング用の情報システムなどとともに200Vの普通充電器をブース中央に展示,同社のEV関連の幅広い取り組みを来場者にアピールしていた(図3)。


「EV・HEV駆動システム技術展」のハセテック社ブース(左)
 
同社の200V単相普通充電器(右)
図2:「EV・HEV駆動システム技術展」のハセテック社ブース(左)と同社の200V単相普通充電器(右)。充電器には鍵がついており,ディスプレイで操作が可能


図3:「EV・HEV駆動システム技術展」の九州電力ブース。中央の青い柱状の機器が200V単相普通充電器
図3:「EV・HEV駆動システム技術展」の九州電力ブース。中央の青い柱状の機器が200V単相普通充電器



200Vの倍速充電は充電インフラの最大公約数
 200V単相電源は,実際には一般家庭でもかなりの数の世帯で使用が可能となっているはずである。1990年以降に建築された住宅やビルなどでは,単相三線式と呼ばれる配電方式が採用されている場合が大半である。この場合,まだ100Vのコンセントと電気機器しか使っていなくても,電気工事を行い200V対応コンセントさえ設置すれば200Vが使えるようになる。
 光熱費が節約できることや,火を使わず安全であることなどを理由に人気が高まっているオール電化住宅では,IH調理器やヒートポンプ式電気給湯器など200V電源を使用する電気機器が一般的となっており,これらの住宅では既に200Vの電圧が日常的に使用されていることになる。このような家庭では,ガレージに200Vコンセントを追加するだけで,自宅でEV/PHVの充電が可能となるわけだ。


 このほかにもEV/PHVの普及に向けた課題として,「蓄電池の低コスト化」,「充電インフラの整備」,「人々の意識の変化」の視点でさまざまな議論がある。テクノアソシエーツではこれら課題の視点から,業界関係者のコメント,各種データを踏まえ,今後のEV普及と周辺ビジネスの実現性を検証し,調査分析レポート「EVの普及と社会システムの変貌に潜む20の仮説」としてまとめた。

(大場淳一=テクノアソシエーツ)


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