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中国ハイテク企業の技術競争力分析−急成長する中国は,技術力で日本を追い抜くのか?−

「製造力」に加えて「技術力」も強化
成長続く中国エレクトロニクス企業

[2007/09/19]

 家電,パソコン(PC),通信などの分野で台頭している中国企業が,新しい戦略を打ち出し始めた。これまでは,海外企業からの技術導入やリバース・エンジニアリングといったキャッチ・アップ型の研究開発体制によって研究開発費を抑える一方,「世界の工場」と呼ばれる製造力で冷蔵庫,テレビ,DVD,パソコン(PC)などのコモディティ製品市場で事業を拡大してきた。ここへ来て,自前の研究開発力を強化して独自の技術や製品を生み出して事業を拡大する方向に転換し始めた。この証左として近年,中国企業が研究開発費を急増させている。中国企業が,製造力で見せた急速なキャッチ・アップを,技術力でも再現する可能性は否定しきれない。これらの中国企業と競合する日米欧韓台の企業は,技術力における中国企業の台頭を想定した戦略を今から準備を進めておく必要が出てきた。

 家電分野における中国TCL Corp.(TCL)や中国Haier Co.,Ltd.,(海爾),PC分野における中国Lenovo Group Ltd.(聯想),通信分野における中国Huawei Technologies Co.,Ltd.(華為技術)。エレクトロニクス・情報通信などの分野において中国企業の台頭が著しい。しかし,これらの中国企業と市場で競合する日本企業などの中には,「技術力,製品力,ブランド力などの点で日米欧の業界トップ企業には劣っている」との楽観視する向きが少なくない。しかし,このような認識は今すぐにも改めなくてはならないかも知れない。中国企業が技術力強化に向けて,急速に力を入れ始めたからである。
 中国企業が技術力強化に力を入れ始めた背景には,製造力だけではこれまでのような急成長を継続することが難しくなってきたことがある。例えばDVDプレーヤでは,DVDパテント・プールなどから特許侵害通告を受けた。中国企業が世界市場で台頭するなか,中国企業に対する競合企業の眼が厳しくなり,海外市場でのさらなる成長のために製造力に加えて,技術力などの強化が急務になってきた。

独自技術の開発を目指して研究開発投資を急増
 これに対し,中国企業は技術開発力の強化を目指して研究開発費を急増させている。例えば中国信息産業部のデータによれば,中国関連企業の売上高上位10社における研究開発費の合計は,2002年の120億元(1元を150円で換算すると180億円)から,5年後の2006年には240億元(同3,600億円)に倍増した(図1)。直近の2005年と2006年を比較しても,26%増と急拡大している。
 売上高の急増に伴って研究開発効率注1)が低下しているのも関わらず,中国企業が研究開発を増やし,売上高に対する研究開発費の比率で4%前後を維持している。このことからも,これらの企業が独自の研究開発を重視しようとしていることが伺える。中でも,Huaweiは10%近く,Haierは5%以上を投資している。今後は,このような企業に触発されて他の中国企業も研究開発費を積み増してくる可能性がある。

一部の中国企業はすでに成果を出し始めた
 この結果,中国企業による研究開発への注力がすでに成果に結び付き始めている。例えばHuaweiは,モバイルWiMAX分野で沖電気工業と共同開発を2006年11月から進めている。またMVNO(mobile virtual network operator)であるイー・モバイルに,基地局を提供した。これらは,Huaweiが進めてきた技術開発の成果といえよう。なお同社の特許出願総数(1998年の会社設立から2006年11月時点まで)は,中国国内で14,252件,中国国外で2,635件に達しており,そのうち2,528件の権利を取得済みである。同社のホームページによれば,同社は世界中に11カ所の研究開発センターを持ち,全社員44,000人のうち,48%が研究開発に携わっている。
 さらに中国Hisense Electric Co.,Ltd.(海信)は,4年間に3,000万元(同4億5000万円)を投じ,独自のテレビ用画像処理チップ「信芯(ハイビュー)」を2005年に開発した。0.18μmルールを採用,200万ゲートで700万トランジスタの回路規模である注2)。同社はこのような技術開発を進め,チップの製造・販売事業に加え,技術ライセンス事業への展開も視野に入れている。同社は,従来より「技術立企(技術体系の保障なくして企業の発展はありえない)」をスローガンに掲げており,近年は売上高に対する研究開発費の比率で4%以上を維持し続けている。

 このように技術力の強化を進め,海外進出に挑む中国ハイテク企業の実力を分析するレポート『中国家電メーカーの競争力分析』が2007年11月に発売される。詳細はこちら

注1) 研究開発投資の事業への貢献を示す指標の1つ。一般には「営業利益を研究開発費で除した値」だが,ここでは「純利益を研究開発費で除した値」。この値が大きいほど研究開発が利益につながったと見なすことができる。
注2) Tcch-On! 2005年7月8日,「中国メーカーが自力開発のLSI,テレビ向けに量産開始

図1:中国電子産業分野の売上高上位10社の研究開発費(単位:万元)
図1

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