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日経ヘルスラボレポート

4つのアンチエイジング・トレンドが明らかに
第一回 寿命延伸へ期待高まる「カロリーリストリクション仮説」

[2009/08/07]


 テクノアソシエーツが,日経ヘルスラボレポート「アンチエイジング・機能性化粧品の市場・技術動向2009」(監修:日経ヘルス,日経ヘルスプルミエ)の発行に伴い,抗加齢医学の専門家へ取材した結果,今後のアンチエイジング研究のトレンドとして,(1)カロリーリストリクション(カロリー制限),(2)肥満対策,(3)医農連携,(4)腸からのアンチエイジング,の4つの注目が高いことが明らかになった。4回に分けて,各トレンドに対する専門家の見方を紹介する。

サーチュインをターゲットにした開発競争始まる

 順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座の白澤卓二教授は,カロリーリストリクションによる寿命延伸効果に期待を示す。「人間の寿命を延ばすような生活改善は,アルツハイマー病などの加齢性疾患の発症年齢を遅くし,将来的にはその人生の中で,発症を防げるのではないか。アルツハイマー病の最大の予防法は年をとらないことだという逆転の発想にたどり着いた」と,白澤教授は指摘する。そのための,具体的なアプローチとして,炭水化物,たんぱく質,脂質といった三大栄養素の機能を補う成分をバランスよく摂取する「機能ユニット」という考えを提唱している(関連記事)。「糖類や炭水化物など,エネルギーだけを重視した食事にかたよると,このバランスが崩れ,それが血管年齢や認知機能に大きく影響する。動物実験で,カロリー制限により加齢現象が抑制されるのは,こうした食品の機能バランスが改善されている可能性を示唆している」(白澤教授)。

 摂取カロリーの制限は,マウスや線虫などの実験で寿命延伸効果があることが確認され,老化仮説の1つとして評価が高まっている。そのメカニズムは,カロリー制限がIGF/インスリンシグナルの活性を低下させ,サーチュインと呼ばれる酵素を活性化,細胞修復やアポトーシスなど長寿に関連する遺伝子群の発現を高めることに起因すると考えられている。サーチュインを活性化する外因性の機能性成分の探索も熱を帯びており,代表的な成分として赤ワインに含まれる抗酸化ポリフェノール「レスベラトロール」が同定されている。

 また,サーチュインをターゲットにした低分子化合物の開発を目的に,2004年に設立されたSirtris Pharmaceuticals社を,GlaxoSmithKline社が2008年5月に買収。「この買収は,老化メカニズムの研究成果が,これまでの食品やサプリメント企業だけでなく,製薬企業やバイオベンチャーのビジネスにまで広がったことを示している。予防や健康増進だけでなく疾患にまでその領域を拡大したことで,これまで以上の市場拡大が期待できるのではないか」と,慶應義塾大学医学部眼科学教室の坪田一男教授は話す。

 今回,これら調査分析について,日経ヘルスラボレポート「アンチエイジング・機能性化粧品の市場・技術動向2009」(発行:テクノアソシエーツ)の中でまとめた。本レポートでは,アンチエイジング研究をリードする有識者や研究者,企業への取材や消費者へのアンケート調査を基にアンチエイジングの市場動向や研究開発動向をレポートしている。加えて,知財調査・コンサルティング会社であるSBIインテクストラの調査協力により,市場のメインプレーヤーである化粧品メーカー,原料メーカーなどの特許出願状況を分析。各社の技術競争力と地域戦略の側面から,アンチエイジング市場の行方を見通す。

(テクノアソシエーツ 笹木雄剛)



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