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今こそ農業改革を
「新・農業」実現に向けた課題と展望

[2009/02/23]


 食の安全,食料自給率の低下など,日本の“農業のあり方”に注目が集まっている。しかし,「人口の減少による食料需要の低下を上回る耕作面積の減少や,農業の担い手の高齢化などを背景に,日本は先進国の中では稀な食料自給率の低さにある。一方,海外に目を向けると,中国やインドなどで人口増による食料需要の増加や,農作物のエネルギー資源としての需要拡大などがあり,過度に輸入依存が高まる流れとなると,将来的な不安が残る。こうしたことを回避するためには,中長期的視点に立った国内産地の活性化と,それを実現させるための農業の変革が必要だ」。
 2008年11月12日に開催された「日経ヘルスビジネスカンファレンス2008」で,三菱商事の農業イノベーション事務局,栗原康剛氏はこのように話し,農業イノベーションのための課題と展望を紹介した。同カンファレンスで「価値創造する“新・農業”2008−健康・安心・安全・環境・文化・自然価値と産業連携−」と題して行われた栗原氏の講演を報告する。


農業衰退の悪循環を農業活性の好循環へ転換を

三菱商事 農業イノベーション事務局 栗原康剛 氏
三菱商事
農業イノベーション事務局
栗原康剛 氏
  「1985年には600万人を超えていた農業就業人口は,2005年にはその人数は半分近くに減少した。それに伴い,耕作放棄地面積は2倍以上に増加。耕作放棄の要因の約半数は,高齢化などによる労働力不足だ。現在,農業に携わる人の年齢は高齢化の一途をたどっており,このままででいくと5年後には,耕作放棄が更に拡大していることが予想される」(栗原氏)。
 一方,海外でも食料に関する議論は高まっている。今年6月に開催された国連食糧農業機関(FAO)主催の「世界の食料安全保障に関するハイレベル会合(ローマ食糧サミット)」では,フランスのサルコジ大統領など先進国首脳も出席するなど,これまでにない関心の高さが伺われた。サミットでも,各国での生産力や生産性の向上の必要性がうたわれ,宣言文にも採択された。

 「こうした情勢からも,特に日本では産地の活性化が不可欠だ。それにはまず,現在の農業衰退の悪循環を断ち切り,農業活性の好循環へ転換して行く必要がある。現在日本の農業が抱えている問題点は,(1)ビジネスモデルの未成熟,(2)担い手不足,(3)農業支援機能不足,の3つ。3つの課題を解決することで,日本の農業の未来が見える。まずは,農業を経営やビジネスモデルの観点から見直す必要がある。また,それによりビジネスとしての魅力が高まれば,担い手の志願者も増える。一方,農業の新たな形のビジネスモデルの展開には,農業を支援する機能を充実させることも大切で,自治体や農業共同組合なども含めた新たな支援の在り方が望まれる」と栗原氏。


健康や文化,自然価値へとつながる「新・農業」

 これと平行して,農業が創造する価値を見直すことも必要という。「農業が食べ物を生産しているだけの産業という発想を変えていく必要もある。農業の営みは,安全・安心,健康や文化,自然,環境への貢献など,社会的な側面もある。農業をこうした様々な価値を提供する新しい産業,すなわち『新・農業』としてとらえれば,農業の将来的な展望が大きくひらけるのではないか」(栗原氏)という。
 その上で栗原氏は「従来型の農業を新・農業へと変革させるためには,産業界との多様な連携が必要」と話した。それには,食の安全を田畑の段階から担保するための仕組みづくりや,農産物の健康機能の研究,資源循環型のバリューチェーンの構築など行うべきことは山ほどある。今後は,農業業界外の事業者との積極的な連携が生まれてくるだろう。そのときに大切なのは,消費者のニーズや社会的な要請に応える“価値”は何かということ。その価値の創造と提供を共通の目的とし,「農業の生産者や加工業者,流通,販売促進など,あらゆる分野の事業者と協業していけるかどうかが,農業変革の成功の鍵となるだろう」と語った。









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