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アスタキサンチンが赤血球膜に移行
膜の酸化を抑えアルツハイマー病予防の可能性も


[2009/02/17]


 アスタキサンチンを摂取すると,赤血球膜中の濃度が高まることが東北大学大学院農学研究科の宮澤陽夫教授らの研究でわかった。宮澤教授の別の研究で,アルツハイマー病の人の赤血球膜では酸化されたリン脂質が多いことがわかっており,アスタキサンチンの摂取により赤血球膜の酸化を防ぎ赤血球の機能を正常に保つことで,アルツハイマー病の予防にも何らかの機能を持つことが期待される。この研究成果は昨年10月25日に山形市で開催された「日本食品科学工業会市民フォーラム平成20年度東北支部大会」で「ヒトの赤血球に含まれるアスタキサンチンの分析法の開発とその生理作用の検討」として発表された。
 なお,アスタキサンチン工業会が主催する第2回の勉強会が,2月20日(金)13:20〜15:20,丸の内MYPLAZA・4階会議室にて開催される(参加費無料,事前登録必要なし)。


赤血球中の過酸化リン脂質を減らす

 アスタキサンチンはリコピンやβカロテン,ルテインなどと同じ色素成分で,カロテノイドの一種。自然界では,サケやイクラ,エビ,カニ,オキアミなどに多く含まれる。強力な抗酸化作用が特徴の一つで,一重項酸素の持つエネルギーを受け取り,安定した三重項酸素にする。その作用はビタミンCの90倍,ビタミンEの25倍ともいわれる。また,抗炎症作用(関連記事)やメタボリックシンドロームの改善作用(関連記事),脳の認知行動能力の向上作用(関連記事)など,幅広い機能があることも知られている。
 今回の研究では,健康な男性と女性それぞれ15人を3グループに分け,1グループには0mg,2グループには6mg,3グループには12mgのアスタキサンチンを1日量として12週間飲んでもらい,赤血球中のアスタキサンチン濃度を測定した。その結果,赤血球中のアスタキサンチン量は,アスタキサンチン摂取量に比例して多くなった(図1)。
 また,このときの赤血球中の酸化された膜の成分である過酸化リン脂質量を調べたところ,アスタキサンチンを摂取したグループでは過酸化リン脂質量が大幅に減少した(図2)。そして,赤血球中のアスタキサンチン濃度が高いほど,過酸化リン脂質が減ることもわかった(図3)。

図1:ヒト赤血球へのアスタキサンチンの移行
図1:ヒト赤血球へのアスタキサンチンの移行

図2:アスタキサンチン摂取で過酸化リン脂質量が大幅に減少
図2:アスタキサンチン摂取で過酸化リン脂質量が大幅に減少

図3:赤血球の過酸化リン脂質とアスタキサンチンの相関
図3:赤血球の過酸化リン脂質とアスタキサンチンの相関



赤血球を若く保つアスタキサンチン
 1992年の宮澤教授の研究では,アルツハイマー病の患者では,赤血球中の過酸化脂質が増えていることがわかっている(図4)。また,ミニメンタルテストによるアルツハイマー病の症状が重いほど,赤血球中の過酸化リン脂質量が増えていた。一方,ルテインやβクリプトキサンチンといった水酸基を持ったカロテノイドである「極性キサントフィル」は赤血球膜に取り込まれやすい傾向があり,アルツハイマー病の重症度が増すと,赤血球中のこうした極性キサントフィル濃度が減少していた。

図4:アルツハイマー病(AD)の患者では赤血球中の過酸化脂質が増えている
図4:アルツハイマー病(AD)の患者では赤血球中の過酸化脂質が増えている



宮澤陽夫教授
東北大学大学院農学研究科
生物産業創成科学専攻
天然物生物機能科学講座
機能分子解析学分野
宮澤陽夫教授
宮澤教授は,「赤血球膜中の過酸化リン脂質の増加は,赤血球の老化と言える。老化した赤血球では細胞への酸素の供給能力が落ちてしまい,脳への影響を引き起こすのではないか。その意味では,赤血球の老化を防ぐことが,アルツハイマー病などの認知症の予防にも重要な意味を持つと考えられる。今回の研究では,ルテインなどと同じ極性キサントフィルであり,昔から食経験のある素材であるアスタキサンチンについて赤血球への移行などを調べた。その結果,赤血球に取り込まれやすく,しかも過酸化リン脂質を抑えることもわかった。つまり,アスタキサンチンは,赤血球を若く保つ成分と言えるだろう。また,別の研究では,アスタキサンチンが,脳細胞のアポトーシス(細胞死)を防ぐ物質を増やすという結果も得ている。今後もアスタキサンチンが脳機能に与える影響のメカニズムを探っていきたい」と宮澤教授は話す。










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