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アーティチョーク葉エキスが医薬部外品として承認
内外美容の「新・美容成分」として応用に期待

[2008/09/30]



 肌のくすみや色素沈着を予防・改善する新たな美白成分として注目されているアーティチョーク葉エキス。アーティチョーク葉の抽出成分を「バイオベネフィティ」という商品名で製造・供給する一丸ファルコス(岐阜県本巣市,安藤芳彦社長)は,このほど,今年6月に医薬部外品*1として製造販売承認されたことを明らかにした。消費者に美白効果等を直接訴求できる薬用化粧品(医薬部外品)や美容飲料などへの応用展開が加速しそうだ。

飲んでも塗っても効く新・美容素材

 アーティチョークは,若いつぼみがフランス料理などに用いられ,日本でも人気が高まりつつある注目の食材(写真1)。西洋では,古来からハーブ(薬用植物)として食用されてきた経緯もある。
 一丸ファルコスは,このアーティチョークの葉の部分に高い美白効果を持つ「シナロピクリン」と呼ばれる成分が豊富に含まれることを発見,化粧品や機能性食品の有効成分として展開してきた。バイオベネフィティは,このシナロピクリンを主成分とするアーティチョーク葉エキスだ。

写真1 アーティチョーク
写真1 アーティチョーク

 同社が,健常成人15名を対象に行ったヒト試験では,1日2回,2ヶ月間,洗顔後にアーティチョーク葉エキスを塗布した結果,9名で開いた毛穴の減少を確認,他の3名においても改善の兆しを確認した(図1)。また,健常成人10名を2群に分けて行ったヒト試験では,1日150mgのアーティチョーク葉エキスを摂取したグループはそうでないグループに比べ,摂取14日目および28日目の肌の白色度が有意に向上し,美白作用があることを確認した(図2)。
 この他,アーティチョーク葉エキスは,メラニン細胞の増加抑制や肌の弾力低下,表皮の肥厚といった光老化全般にも幅広い効果を発揮することがわかっている。飲んでも塗っても効く新たな美容成分として,付加価値の高い化粧品や機能性食品の開発に期待がかかる。

図1 アーティチョーク葉エキスを塗ると毛穴が目立たなくなる
図1 アーティチョーク葉エキスを塗ると毛穴が目立たなくなる
図2 アーティチョーク葉エキスを摂ると美白効果
図2 アーティチョーク葉エキスを摂ると美白効果


従来の美白成分とは異なるメカニズム

 アーティチョーク葉エキスの有効性の特徴の一つが,従来の美白成分とは異なる作用機序を持っていることだ。
 最近,肌が強い紫外線を受けたとき皮膚細胞では,NF-κB(エヌ・エフ・カッパ・ビー)と呼ばれる転写因子(遺伝子の発現を調節する因子)が活性化し,肌を黒くする色素メラニンを供給するメラノサイトを増殖させたり,肌に炎症を起こすことが明らかになっている。その結果,肌の色素沈着や角化異常,皮膚の肥厚,肌弾力の低下などをもたらすとされる(図3)。
 長年,NF-κB研究を進めてきた名古屋市立大学医科学研究科の岡本尚教授の研究グループと一丸ファルコスの共同研究では,シナロピクリンが,(1)NF-κBの過剰な働きを抑制することで美白効果をもたらすとともに,(2)肌の微炎症が起こる光老化(肌質低下,小じわ)などを同時に改善することを確認した。
 なおNF-κBは,1986年に米医学研究者でノーベル医学賞受賞者のボルティモア氏とセン氏の研究グループが発見。以来,NF-κBが体内のさまざまな生理機能に深くかかわる転写因子であり,リウマチ,消化器潰瘍などの炎症性疾患の発症,がん細胞やエイズウイルス(HIV)の増殖にも関与することが明らかになっている。

図3 皮膚の光老化とNF-κB
図3 皮膚の光老化とNF-κB


シナロピクリンがNF-κBの暴走による光老化を改善

 一丸ファルコスは,植物など天然物に含まれる有効成分の研究開発企業として,その高い技術力には定評がある。一丸ファルコスが,アーティチョーク葉エキス開発に取り組むきっかけとなったのは,基礎医学領域や肌領域でNF-κBの研究が進んだことだ。
 「NF-κBの働きは,もともと紫外線の害から肌を守るためにあります。しかし,肌ストレスなどによってその作用が長期にわたって高まることで肌の光老化をもたらす。もし天然由来の成分でNF-κBの働きをコントロールできたら,美白と肌質改善の両方を実現できる化粧品の有効成分になる,と考えたのです」と田中清隆・開発部開発課チーフはいう。
 田中チーフは,ハーブや漢方薬などで利用され安全性が高い植物成分の中から,NF-κBの暴走を抑制する成分をスクリーニング。その結果,「アーティチョークの葉の抽出液に,極めて高いNF-κB抑制作用があることを確認。さらにその活性成分が,シナロピクリンであることを見いだした」(田中チーフ)。
 「NF-κBは,メラニン細胞増殖だけでなく,肌が紫外線ストレスにより起こるごく初期の反応に関わる転写因子。美白だけでなく肌質全体を改善する効果が期待できます」と田中チーフはいう。

――肌の光老化全体を改善しながら美白を実現する。消費者の内外美容への意識が高まる中,「内からも外からも美肌を作り上げる」アーティチョーク葉エキスの,今後の展開に注目したい。

*1: 医薬部外品とは,日本の薬事法が定める分類で,医薬品と化粧品の中間に位置付けられている。医薬品と比較して作用は穏やかだが,健康維持や不調の改善に効果をもたらすことが明らかになったものがこれに含まれる。


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