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骨芽細胞を活性化するコラーゲン・トリペプチド
遺伝子レベルの作用機序が明らかに

[2008/07/07]


 ゼライスは,同社が開発するコラーゲン素材「コラーゲン・トリペプチド(CTP)」(関連記事)が,骨特異的な転写因子として知られるオステリックス(OSX)の発現を誘導し,骨の形成や骨折の治癒を促進することを明らかにした。経口投与したCTPが,どのような経路で骨組織に作用しているのか,その全貌が見えてきた。第62回日本栄養・食糧学会(5月2日〜4日)で発表された。

 これまでコラーゲンは,アミノ酸の形で体内に吸収され,コラーゲンを必要とする皮膚や骨といった組織で,“材料”として活用されると考えられてきた。これに対しCTPは,骨芽細胞に働きかけて活性化する“機能を持つ”ことが,今回の成果によって明らかになった。機能性ペプチドとしてCTPが作用することを確認した成果で,コラーゲンの新たな応用展開が加速しそうだ。

 先に同社は,小腸および骨芽細胞ではトリペプチドを選択的に取り込む「ペプチドトランスポーター」と呼ばれる輸送体が発現しており,その輸送体を通じてダイレクトに吸収されたCTPが高い機能性を発揮することを,徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部臨床栄養学分野との共同研究で明らかにしている。さらにヒト臨床試験を通じて,10週間のCTP投与で変形性膝関節症の諸症状である関節の痛みや違和感を改善することを確認。骨や軟骨などの形成におけるCTPの役割を検証してきた。

 今回の成果により,小腸から吸収されたCTPは骨芽細胞に取り込まれると,OSXの発現を促進して骨芽細胞を成熟,これによってT型コラーゲン(Col1a1)をはじめとする骨基質たんぱく質の発現を誘導することが確認された。これらのたんぱく質が骨芽細胞の石灰化を促進し,骨や軟骨の形成・修復に貢献すると考えられる(図1)

図1 CTPの骨組織への作用機序
図1:CTPの骨組織への作用機序


骨芽細胞に作用し,OSX,Col1a1,BSPの遺伝子を増幅

 CTPが発現を誘導するOSXは,近年,骨芽細胞の分化に必須の転写因子として報告されている。Col1a1のプロモーター領域に結合し,同遺伝子の発現量を促進したり,骨基質たんぱく質である骨シアロたんぱく質(BSP)の発現制御に関与していることが知られている。

 今回,ゼライスは,培養ヒト骨芽細胞にCTP10μg/mL添加し,OSX,Col1a1,BSPの遺伝子(mRNA)発現量を経時的に検証した。DNAマイクロアレイおよびリアルタイムPCRで解析した結果,非添加のコントロールと比べると,CTP添加後12時間後にOSXは2.3倍(図2),24時間後にCol1a1が2倍(図3),36時間後にBSPは2.4倍に発現が増幅することを確認した。
また,同様の実験系で,OSXの上流で発現する骨形成たんぱく質(BMP),形質転換成長因子β(TGF-β),転写因子であるSmadやRunX2の遺伝子発現を解析した結果,いずれも発現量を増加させないことを確認した。骨折などをすると,BMPを起点に骨形成のシグナルが伝達されることが分かっているが,CTPはこのシグナル伝達系とは別の経路でOSXの発現を高めていると考えられる。

 ゼライス中央研究所の酒井康夫所長は,「我々が行ったヒト臨床試験や動物実験(ウサギ)では,CTP投与によって関節症の治癒効果が高まる一方,骨が太くなるなどの副作用は見られなかった。これは,骨形成を強力に促進するBMPシグナル伝達系とは異なる,よりソフト(マイルド)な伝達経路を介していることに起因するのではないか」と話す。今後はCTPの骨細胞への影響などを調べ,骨形成にいたる作用機構を詳細に検証していく方針である。

(テクノアソシエーツ 笹木雄剛)

図2 CTP添加によるOSX遺伝子発現量変動
図2:CTP添加によるOSX遺伝子発現量変動

図3 CTP添加によるCol1a1遺伝子発現量変動
図3:CTP添加によるCol1a1遺伝子発現量変動







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