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コモディティからの脱却に活路を見出す農産物
指名買いされる農産物とは

[2008/05/22]
 これからの農産物は,コモディティからの脱却がキーワードになりそうだ。
「農産物の商品価値を高めるためには,消費者の胃袋ではなく,心を満たす『文化的価値』を再発見し,プレミアを高める必要がある。そうすることで,農産物はコモディティからスペシャリティへと変化し,安定して利潤を上げる商品へと変貌を遂げる。これこそが,20世紀と21世紀の農業および農産物に対する考え方の違いである」。
 2007年11月9日に開催された「日経ヘルスビジネスカンファレンス2007」で,日本ベジタブル&フルーツマイスター協会理事長の福井栄治氏はこのように述べ,「農業の文化価値」という観点から農産物の将来像および農業の今後の活路を示した。同カンファレンスで,「農業がもたらす文化価値〜野菜ソムリエが伝える農産物の魅力」と題して行われた福井氏の講演より報告する。


福井栄治氏
日本ベジタブル&フルーツ
マイスター協会理事長
福井栄治氏
スペシャリティを目指せ
 現在の農産物の大部分は,価格や規格重視のコモディティが占め,残りは伝統野菜や無農薬野菜などのラグジュアリで構成されている。一方,一般の消費財はコモディティ:70〜80%,スペシャリティ:15〜30%,ラグジュアリ:1〜3%と言われており,その違いは明確だ。福井氏は,農産物のプレミア性を高め,コモディティからスペシャリティへと脱皮を果たすことが,ビジネス機会の拡大につながると指摘する。
 プレミア性を高めるアプローチの1つが,農産物の文化的価値の発信である。「例えば,現在,東京では8〜10品目のトマトが販売されており,それぞれパスタソース用,弁当用,デザート用など多様な使い分けがされている。生活者の求めるニーズを文化的価値として農産物に結び付けることが,生活者の心を満たすことになる」(福井氏)。こうした文化的価値は,プレミア性として商品価格に反映される。
 農産物の文化的価値の発掘も進んでいる。「会津には,収穫した大根を11月〜12月初頭にかけて雪の下に貯蔵し,1月〜2月に掘り出して出荷する大根がある。当事者にとっては当たり前の行為だが,これを大根のソフト価値として押し出すことで,スペシャリティとして消費者に広がった」(福井氏)。このようにしてプレミア性を高めた農産物は,コモディティが直面する価格競争から抜け出し,指名買いにより安定した利潤を生み出すことが可能になる。


高まる野菜ソムリエの役割
 農産物の文化的価値に注目が集まるのに比例して,ベジタブル&フルーツマイスター(通称「野菜ソムリエ」)の社会的役割も高まっている。野菜ソムリエは,福井氏が理事長を務める日本ベジタブル&フルーツマイスター協会が認定する野菜,果物の情報や価値に精通したスペシャリスト。
 現代社会では,スーパーなどセルフサービスの店舗が中心となり,日本人がこれまで日常生活で得ていた野菜に関する情報や知識が入手しずらくなっている。一方,生活者の情報ニーズは高まり,野菜の文化的価値の発信を,外食・中食や小売業界等も積極的に進めるようになってきた。その1つの手段として野菜ソムリエを活用する動きが広がっている。
 「野菜ソムリエの認定制度を開始した当初,受講者の割合は9割が生活者,1割が産業界だったが,今では,生活者6割,産業界4割になってきている。例えば,あるコンビニエンスストアでは,全店長に野菜ソムリエの養成講座を受講させている。生活者のニーズが多様化し,以前では考えられなかった情報が求められている結果だろう。例えば,妊婦さんなら,農産物の安全性。小さな子供を持つ親なら,どうすれば子供の野菜嫌いを矯正できるか。若い女性なら,どうすれば肌がきれいになるのか。こうしたニーズに応える存在として,野菜ソムリエの活躍の場は今後ますます広がっていくと期待している」(福井氏)。



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