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医農連携による地域活性化を目指す高知県

[2008/05/01]
 高知県が医農連携に力を入れている。同県は,恵まれた気候・環境を生かして,ショウガやニラといった野菜だけでなく碁石茶,桜茶といった特産品を生み出しており,これらの地域産品が本来持っている価値を検証し,健康効果などの付加価値を高める方策として医農連携に注目している。
 「健康を考える上で食品は非常に重要な要素となっている。医農連携を通じて健康効果を科学的に検証し,その結果を食品の付加価値や高知県の健康ブランドに転換することができれば,産業の活性化にもつながっていく」。
 2007年11月9日に開催された「日経ヘルスビジネスカンファレンス2007」で,高知大学農学部生物資源科学科教授の受田浩之氏はこのように見解を示し,「地域食材と健康」という観点から高知県の取り組みを紹介した。同カンファレンスで,「地域食材を活用した健康まちづくり〜高知県産学官・医農連携の挑戦」と題して行われた受田氏の講演より報告する。

受田浩之氏
高知大学農学部
生物資源科学科教授
受田浩之氏
“地産地消地検”で地域食材の価値を検証
 「高知県のように,人的な資源や企業の絶対数が少ない地域では,大学や自治体,メーカーなどの機関・企業が,連携しながら足りない部分を捕捉しあうことが必要になります。健康という観点から考えると,医学部や医療従事者の関与も重要になってきます」。
 高知県では,医農連携の一環として,地域食材の健康増進効果を検証する作業を行っている。地域住民にボランティアとして協力を仰ぎ,メーカーと医療機関が連携しながら治験を実施し,エビデンスを取得するというもので,現在,その第一歩を踏み出したところだ。こうした取り組みを,「地産地消に『地域で検証する』という意味を込めて,“地産地消地検”と表現している」(受田氏)。
 その背景には,高知県の農業生産の低迷がある。生産額は,この10年で31.8%減少し,比例して農家収入も減少している。一方,気候や環境は恵まれ,ショウガやニラ,シシトウ,碁石茶,桜茶など,優れた地域産品が多い。近年,これら産品の健康効果が,大学や公的機関などを通じて明らかになってきている。
 医農連携では,地域住民を対象にこうした地域産品の健康効果を実証,高知県のブランドへと結び付け,農業をはじめとする地元産業の活性化につなげる狙いだ。受田氏は,「エビデンスを通じて,地域食材の特色や付加価値を訴求し,『健康まちづくり』や地元産業の活性化につなげていく。他の地域より高齢化が進んでいる高知県で,こうしたモデルを作ることができれば,先駆的なアプローチとして他の地域へも転用できるのではないか」と見解を示す。

地域食材を活用した健康街づくりを目指して
 すでに,複数の産品でエビデンスを取得している。例えば,桜の花を水洗い→塩漬→脱水→梅酢に浸漬して製造する桜茶のエキスは,SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)様活性が赤ワインの5〜8倍を示し,抗酸化作用を有する。ポリフェノールの1種であるアントシアニンやカフェ酸を多く含む。
 また,日本唯一の後発酵茶である碁石茶は,緑茶や水と比べて,血清中の過酸化脂質量を有意に減少し,LDLコレステロールの上昇を抑制することを,ウサギの試験で確認。この他,ショウガやニラの抗ピロリ菌活性,ピーマンの殺虫作用など,食材・産品の機能性解明に力を入れている。
 今後は,食品の機能性の追求とともに,地域特産物の流通活性化,新規加工食品の開発等を通じて,医農連携による成果を地域に還元していかなければならない。地域住民の健康への貢献や農業をはじめとする地元産業の活性化が,最終的な目標となる。「健康街づくり産業振興ビジョン策定委員会,食料産業クラスター協議会等を高知県でも立ち上げ,地域社会と連携した産業活性化の仕組みを検討している。医農連携という枠組みの中で,民間が生産・開発・流通・販売を担当し,高知大学が知を,高知県が場と人を提供する。それが,地域食材を活用した健康街づくりにつながっていくだろう」(受田氏)。




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