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ポリアミンにアンチエイジング効果−動物実験で確認
納豆の新機能として期待高まる


[2008/04/21]
 納豆の健康効果が,また1つ明らかになった。自治医科大学さいたま医療センター准教授の早田邦康氏は,納豆,チーズなどの発酵食品や大豆,シイタケ等に豊富に含まれる「ポリアミン」に,アンチエイジング効果があることを,マウスの実験で実証した。ポリアミン濃度の高い飼料を与えたマウスは,そうでないマウスに比べ,血中ポリアミン濃度が高まり,毛並みが良く,生存率が有意に上昇するという。「実験ではヒトの中年期に相当する50週齢のマウスを用いた。実験の結果,高ポリアミン飼料を食べたマウスは,毛並みが若々しく(写真1),死亡率が低下することを確認した」(早田氏)。

   
高ポリアミン食を食べたマウス
 
高ポリアミン食を食べていないマウス
 【写真1】 高ポリアミン食を食べたマウス(左)とそうでないマウス(右)


ヒトでは,納豆を食べ続けると,8週間ほどで血中ポリアミン濃度が上昇することが確認されている(図1)。早田氏は,「ヒトで血中ポリアミン濃度の上昇が確認されている食品は納豆だけである。納豆を食べ続けることで,中年期の健康状態を改善し死亡率を低下する,アンチエイジング効果が期待できる」と述べている。全国納豆協同組合連合会が主催した記者発表会で発表した。

図1納豆を食べ続けるとポリアミン血中濃度が上昇
【図1】納豆を食べ続けるとポリアミン血中濃度が上昇



相次ぐ納豆の健康効果解明・強化
 近年,納豆の健康効果の科学的な裏づけや強化が進んでいる。例えば,旭松食品は,納豆菌K-2株という独自の納豆菌の整腸効果を確認し,今年2月納豆初の整腸トクホ(特定保健用食品)「おなか納豆」を製品化した(関連記事1)(関連記事2)。また,ミツカングループは,カルシウムを骨にするのを助けるビタミンK2を豊富に含むトクホ納豆「ほね元気」シリーズを展開している。各社とも,科学的に解明した納豆の健康効果を商品の目玉とし,消費者の支持を狙っているのが特徴だ。
 今回,ポリアミンのアンチエイジング効果がマウスで確認されたことについて,全国納豆協同組合連合会の理事を務める旭松食品常務取締役の木下博隆氏は,「納豆の多彩な健康効果の一端が,また明らかになった。食品業界は,原料価格の高騰,末端製品値上げなど後向きの話題が続いているが,今回の成果が,健康効果という納豆の本質に注目が集まるきっかけになれば」と期待を示している。

ポリアミンが炎症物質を抑制
ポリアミンは,すべての生物の細胞内で合成される物質で,細胞の増殖や分化に関わっている。ヒトの代表的なポリアミンは,スペルミン,スペルミジン,プトレスシンと呼ばれ,分子量が200程度までの物質である。消化管内でそのままの形でほぼ吸収され,体内の臓器や組織に移行することが知られている(図2)。
  2004年に早田氏は,ポリアミンが免疫細胞表面に存在する炎症の誘発因子「LFA-1」(leukocyte function associated antigen1)の発現を抑制することを発見した。LFA-1は加齢とともに増加する一方,ポリアミンは減少する。体内では,炎症が引き金となって酸化物質が産生され,老化や生活習慣病が進行すると言われている。「炎症を抑制するポリアミンがアンチエイジング効果を発揮することは,理論的に矛盾せずに説明できる」(早田氏)と話す。

図2とくにスペルミンとスペルミジンは消化管で分解されずにそのまま体内に吸収される
【図2】とくにスペルミンとスペルミジンは消化管で分解されずにそのまま体内に吸収される


健康なマウスをアンチエイジング
 実際に,50週齢マウスを用いてアンチエイジング効果を実証したのが今回の発表である。飼育環境を同じにした健康なマウスに,高ポリアミン飼料,市販飼料,低ポリアミン飼料を与え,毛並みや生存率を検証した。市販飼料には,ポリアミンを多く含む大豆粕と大豆油が含まれている。低ポリアミン飼料は,それぞれをミルクカゼインとラードで代替したもの,高ポリアミン飼料は大豆や納豆と比べてポリアミンが2倍量になるように調製した。また,餌自体がマウスの健康に影響を与えないように,各飼料とも脂肪は総カロリーの23.1%とした。
その結果,高ポリアミン飼料を与えたマウスは,毛並みがよく,生存率が上昇した。早田氏は,「飼料に含まれるポリアミン量以外の条件(飼育場所,空気,水)は,総て統一している。すなわち,マウスを見た目,寿命の両方からアンチエイジングしたのは,ポリアミンであるといえる。不健康な餌のために健康状態や寿命が悪化したマウスではなく,正常な健康状態のマウスに対して効果を発揮することは,極めて意義が大きい」と見解を示している。

(テクノアソシエーツ 笹木雄剛)


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