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「開発力のある企業の発掘がクラスター発展の出発点」
イノベーションの主体としての製品開発型企業


[2008/03/25]

 「全国に形成された産業クラスターが,それぞれ自立化し,経済的にも産業的にも発展・成長していくためには,3つの着眼点が必要となる。すなわち,(1)開発力のあるコア企業を探す,(2)効果的な連携仲介の仕組みを作る,(3)コア企業の共通課題に重点的に対応する,という3つの取組みだ。この上で,単なる受発注取引関係ではない多様な技術・知識の連携を進めることが,イノベーションの創出につながる」。
 京都大学経済研究所附属先端政策分析研究センター教授の児玉俊洋氏は,2008年2月14日に開催された「四国テクノブリッジフォーラムフェア2008」にて,このように指摘,製造業分野のクラスター実例を交えながら地域における産業クラスターの発展モデル仮説を提唱した。「産業クラスターの自立化は可能か〜コア企業を探す〜」と題して行われた講演から,同氏が考えるクラスターの発展に必要な3つの着眼点を紹介する。

児玉俊洋氏
京都大学経済研究所附属
先端政策分析研究センター教授
児玉俊洋氏
製品開発型企業の探索
 まず1番目の着眼点は,講演副題にも上げられた「開発力のあるコア企業を探す」だ。産業クラスター計画は,経済産業省主導で2001年度から開始され,第U期目に入った現在は,全国で18のプロジェクトが実施されている。これらのプロジェクトには,大・中小企業や大学・研究機関,支援機関等がプレイヤーとして参加しているが,これらの連携・ネットワーク体制におけるイノベーションの主体となるのが,コア企業である。
 具体的には,「研究開発をしているだけでなく,市場ニーズに基づいて製品を企画・設計する開発力がある中小企業が,コア企業として重要な役割を果たす。製造業において設計能力があり,かつ,自社製品の売上がある中小企業であり,我々は製品開発型中小企業と定義している」(児玉氏)。 一方,非製品型中小企業は,基盤技術型中小企業と製品開発型に分類されない研究開発型企業に分類し,定義している。

イノベーション主体として地域に貢献
 児玉氏が行ったTAMA(Technology Advanced Metropolitan Area/東京都多摩地域,埼玉県南西部,神奈川県中央部にまたがる地域クラスター)および京滋地域(京都市近郊と志賀県南部にまたがる地域クラスター)における調査報告では,製品開発型中小企業がクラスター発達の重要な役割を担っていることが示唆されている。
 いずれの調査でも,非製品型中小企業と比べ,製品開発型中小企業は,
  • 受注取引先の数が多く,地域的に広がりがある
  • 対売上高研究開発比率が高い
  • 特許出願件数が多い
  • 新製品開発件数が多い
  • 工程・加工法関連の新技術の実用化件数が多い
  • 産学連携実施企業割合が高い
 といった結果が出ており,「イノベーションの主体として地域への波及効果が大きい」(児玉氏)。
 開発目的に柔軟に対応するためには,専門分野のコア技術とともに,大学や大企業の外部知識・技術,非製品型中小企業が持つ基盤製造技術を有効活用する能力が必要となる。こうした技術の“深さ”と“広さ”を兼ね備えた企業を,各地域で確立,増やしていくことが,クラスター発展の出発点となる。

効果的な連携仲介の仕組み
 この上で,2番目の着眼点「効果的な連携仲介の仕組みを作る」ことが必要になる。その目的は,クラスター内連携や域外連携の促進だが,「自律的にクラスターに参加するコア企業の存在がなければ,いくら支援メニューを充実させても,(その仕組みは)機能しない」(児玉氏)。コア企業の増加が連携促進の必須条件となる。
 連携仲介の仕組みについては,「連携を促進するためには,ニーズの把握が前提となる。そのためには,産学連携ニーズの探索スキームや大企業の開発ニーズとのマッチング機能の強化が必要だ。具体的には,大学のリエゾン機能の強化やコーディネーターとして大企業OB等の活用が考えられる」(児玉氏)。
 地域に“埋もれた”優れた技術と開発ニーズを顕在化させるためのプラットフォームとして,クラスターを活用することで,連携を促進させようという考えだ。

技術人材の確保が大きな課題
 そして,1番目,2番目の着眼点を支えるのが3番目の着眼点「コア企業の共通課題に重点的に対応する」である。こうした姿勢を示すことは,コア企業のクラスター参加の動機となり,結果としてイノベーション創出のための環境整備につながる。特に,技術人材の確保は中小企業にとって大きな課題であり,「ポスドクの企業への有期派遣制度の検討など,実質的な課題対応策が求められている」(児玉氏)と指摘した。


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