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IGAバイオリサーチ,三菱商事と共同で植物芽胞の発芽阻害物質のサンプル出荷を開始


[2005/04/13]

 農産廃棄物の有効利用の研究・開発を進めるIGAバイオリサーチ株式会社(本社:大阪府堺市)は,三菱商事と共同で植物芽胞の発芽阻害物質「PABS」の事業化に取り組んでいる。このほど,ゴーヤを原料とするPABSの製造法の確立にメドを付け,これを原料とした製品をこの夏にもサンプル出荷を開始する予定である。

食品の安全性向上に効果を期待
 細菌の中には,生育環境が悪化すると芽胞という胞子を形成する(=活動を休止する)ものがあり,これを芽胞菌という。芽胞菌は,環境が改善されると発芽し活動を再開,食中毒の原因となったり,食品の腐敗を引き起こしたりする。この発芽を阻害し,芽胞菌を死滅させるのがPABSで,食品の安全性向上に効果が期待されている。
 PABSは,IGAバイオリサーチ代表取締役社長で大阪府立大学名誉教授の坂井拓夫氏(食品環境学)によって発見された。同氏が世界に先駆けて1973年に単離したプロトペクチナーゼという酵素を植物に作用させると,細胞が単細胞として分離される。このとき,「細胞同士を接着させている細胞間隙物質(プロトペクチン)の分解物(可溶性のペプチン)も分離される。ここに芽胞発芽を抑制する物質が存在することを発見し,これを『plant anti-bacterial spore-germing substance:PABS』と名付けた」(坂井名誉教授)という。

食品の日持ちを向上させる植物由来の素材
 芽胞は,いくつかの反応を経て発芽に至り,さまざまな物質が,その過程に関与することが知られている。PABSの作用機序については,現在,解明が進められている最中であるが,「発芽誘発剤となるL-アラニンの結合を阻害,もしくは芽胞の殻を分解するたんぱく質分解酵素の働きを阻害しているのではないか」(坂井名誉教授)と考えられている。
 実際,IGAバイオリサーチが行なったPABSの発芽抑制活性の測定試験では,PABS濃度の上昇に伴い芽胞菌の死滅率が100%に近付くことが示唆されており,「食品の日持ちを向上させる植物由来の素材として,有意な特徴を有している」と坂井名誉教授は見ている。
 現在,品質保持目的には,ポリリジン系製剤,プロタミン系製剤や,ショ糖脂肪酸エステルのような食用乳化剤が使われているが,いずれも合成系添加物である。PABSのような天然物由来の素材へのニーズは高い。酢酸ナトリウムやグリシンを品質保持目的で調味料と兼用する場合もあるが,食品の味を損ねてしまうという欠点があった。こうした問題を解決する新しい食品素材としてPABSに注目している。

ゴーヤからのPABS製造法をほぼ確立
 IGAバイオリサーチが原料として採用しているゴーヤは,廃棄量が多く,また,比較的安価に入手できる。「ゴーヤからのPABSの製造方法は,ほぼ確立できた。まずは,芽胞菌が発生しやすい豆乳や缶コーヒー,おしるこの缶詰などに食品素材として応用していきたい」(坂井名誉教授)という。
 ゴーヤを単細胞化するプロトペクチナーゼは,すでに食品応用酵素として認可されている。また,厚生労働省は基本的に酵素分解物を食品として認可していることからも,ゴーヤ由来のPABSが食品素材として認可される公算は大きい。こうした背景から,付加価値の高い食品素材として,PABSの応用展開を促進するためにサンプルの出荷を始めることとした。
(山口 健=テクノアソシエーツ)


IGAバイオリサーチ/三菱商事からの提案
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記事要点掲載先:日経BP.JP


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