健康素材・商品フォーラム 新・農業フォーラム 地域自然資源フォーラム 新・農業フォーラム トップページ

鍵庄,三菱商事と共同で,水溶性食物繊維「ポルフィラン」の事業化に着手


[2005/03/30]

 海苔の超微粉末化商品で実績のある株式会社鍵庄(本社:兵庫県明石市)は,三菱商事と共同で水溶性食物繊維の「ポルフィラン」の事業化に着手した。現在,ポルフィランの小規模なサンプル出荷ができる段階に来ており,まずMSDS(Material Safety Data Sheet:化学物質等安全性データシート)の作成を最優先で進めている。これと並行して,ポルフィランの(1)健康食品,(2)化粧品への応用展開を図るため,おのおの数社程度の共同開発パートナーを募集することになった。

優れた保水性のほか自然免疫活性などの特徴を持つ
 ポルフィランは,海苔にのみ含有されている硫酸多糖類の一種で,細胞壁の構成物質(図1写真1)。糖質の約80%,海苔全体の約30%を占めている。海面で生育している海苔は,紫外線や渇水に耐えるための“防御機能”を有しており,その役割を果たしているのがポルフィランの優れた保水性だ。また,自然免疫活性,血清コレステロール低下効果および整腸作用など数多くの生理活性が報告されている。こうした特性を生かすことで,化粧品や健康食品,医薬品など,幅広い市場への応用が期待されている。

写真1:海苔葉体の電子顕微鏡観察結果
図1:海苔葉体の模式構造図

図1:海苔葉体の模式構造図
写真1:海苔葉体の電子顕微鏡観察結果

 海苔の細胞は20〜30υmの大きさで,一つ一つが厚い細胞壁(ポルフィラン)で囲まれている。ポルフィランを収集するには,海苔をこのサイズ以下に粉砕しなければならないが,鍵庄は,ジェット・ミルを利用した超微粉末化技術を確立。「マッハ2.5の超音速気流を作り出し,板海苔を15〜20υm以下に粉砕していく」と鍵庄常務取締役で技術開発部部長の小林孝氏は言う。
 ポルフィランは,この粉末化技術とIGAバイオリサーチ株式会社代表取締役社長で大阪府立大学名誉教授の坂井拓夫氏(食品環境学)の保有する抽出・精製技術と組み合わせて,高純度に抽出・精製される。

安定的かつ安全なポルフィランの抽出・精製技術を確立
 これまでポルフィランの抽出・精製については,熱水抽出法にホルマリン処理を組み合わせた手法を始めとして数種類の手法が考案されていたが,(1)収量が著しく低い(10%程度),(2)ホルマリンを使用するので食品としての安全性が担保できないといった課題があり,現実的な手法とは言いがたかった。
 今回,鍵庄と坂井教授の技術によって安定的かつ安全なポルフィランの抽出・精製技術が確立されたことで,ポルフィランの事業化,応用展開が見えてきたというわけだ。

まずは,健康食品としての応用を目指す
 そのターゲット市場について,「まずは,健康食品としての応用と化粧品分野への進出を考えている」(小林部長)。現在,論文として発表されているポルフィランの有用性は,自然免疫活性,抗変異原性作用,血管新生抑制作用,整腸作用などで,これらを健康食品として応用できないかというのが狙いの一つだ。
 また,ポルフィランは,フコイダンと共通した構造(硫酸基を有する多糖類)をとるため,フコイダンの有用性としてうたわれている血清コレステロール低下作用,血圧上昇抑制,抗潰瘍活性などの生理活性も期待されている。
 免疫力増強(マクロファージの走化性・貪食性の活性化)による感染症の予防や,コレステロールの低下,血圧上昇抑制による生活習慣病の予防,腸内細菌活性化(ビフィズス菌の餌になる)による便秘改善など,高まる健康志向に応えるポテンシャルを秘めている。

保湿性を利用して化粧品分野を開拓したい
 化粧品分野としては,ポルフィランの保湿性を利用した応用展開が考えられる。「フコイダンに比べ保水性に優れたポルフィランは,(フコイダンとは異なる)新たな用途開発も可能」(小林部長)といい,スキンクリームやシャンプー,リンスなどのトイレタリー製品への利用など,ポルフィランの持つ皮膚老化予防効果や保湿効果の応用が期待されている。実際,海外でも海苔抽出成分の化粧品への応用が進められている。
 鍵庄は,商品価値のない色落ちした海苔を使用する。海苔という日本の伝統的健康自然食品を原料にしていることから,消費者には好印象を持って受け入れられることが予想される。新たな健康食品素材,化粧品素材として,応用展開に注目が集まっている。

共同開発パートナーを募集
 鍵庄と三菱商事は,ポルフィランを使った応用展開を図るための共同開発パートナー企業を募集する。鍵庄と坂井名誉教授との共同研究を通じて,海苔に約30%含有されているポルフィランの高純度抽出及び精製に成功し,商業化に近い段階となってきたらである。具体的な応用分野としては(1)健康食品,(2)化粧品の2つを想定しており,それぞれの数社程度の共同開発パートナーを得たい考えである。
(山口 健=テクノアソシエーツ)



鍵庄提供の関連資料
ポルフィランの開発と応用に関する各種情報(自然免疫活性向上,抗潰瘍活性,動脈硬化指数低下,血圧低下,生理活性など)

詳細は下記のPDFファイルをダウンロードししてください。

鍵庄詳細ファイル

PDFファイルの閲覧にはAcrobat® Reader®が必要です。
Acrobat® Reader®のダウンロードはこちら



共同開発に関する問い合わせ先
三菱商事株式会社
関西支社食料部
担当:神山(こうやま)

大阪市北区梅田二丁目2番22号
(ハービスENTオフィスタワー)

TEL: 06-6348-7030
E-MAIL: yuji.koyama@mitsubishicorp.com



記事要点掲載先:日経BP.JP


Copyright (c)2008-2013 TechnoAssociates, Inc. All Rights Reserved.
食と健康ビジネス