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スカラがHMDを開発,
試作品は6万3,000円で発表即日完売

[2005/11/02]

 テレビに接続して頭皮の髪の状態などを拡大して見ることできるビデオ・マイクロスコープの大手メーカーであるスカラが,新規分野としてヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)の開発を進めている。同社は,2005年3月に「Teleglass」を試作,試験販売し,発表即日で200台を完売したという実績を持つ。

屋外用途を意識して眼鏡装着タイプに
図1:ディスプレイ・モジュールを眼鏡に取り付けたところ
図1:ディスプレイ・モジュールを眼鏡に取り付けたところ
 Teleglassは屋外での利用を想定し,市販の眼鏡のレンズ部分にディスプレイを装着して片目で見るタイプのHMDである(図1)。本体とディスプレイ・モジュールで構成されている(図2)。単三乾電池2本で約2時間の連続使用が可能。ディスプレイ・モジュール部の重量は8g,全体重量約70g(電池を含まず)と非常に軽量である。
 本体は,DVDプレイヤーやビデオ・プレイヤーから入力された映像・音声信号を,映像はディスプレイ・モジュールで,音声はヘッド・フォン(市販品を接続)で,それぞれ再生するための機能を担う。ディスプレイ・モジュールを右目と左目のどちらで見るかによって映像の天地を反転させる機能,画面内の遠近感を調整する機能などが付いている。映像入力はNTSC,音声の入出力用には2.5ΦのAV端子を備える。
 ディスプレイ・モジュールは,付属の吸盤や磁石を使って市販の眼鏡に装着する方式を採用し,8gと超小型・軽量ながら,約1m先で14型相当の映像を楽しめるようにした。解像度は800×225画素である。このような超小型のディスプレイ(electric view finder:EVF)を同社が開発できた理由は,これまでビデオ・マイクロスコープで培ってきた小型レンズ・照明技術を応用できた点にある。ビデオ・マイクロスコープではカメラ・モジュールの先端部分に,拡大用の小型レンズと,拡大の際に不足しがちな光量を補うために小型照明系を組み込む必要がある。同社はこれらのレンズや照明系を自社開発している。今回の小型ディスプレイに組み込んだレンズやバックライトも,これらの技術を生かして自社開発した。
 Teleglassを,同社は初期ロットとして200台を試作し,2005年3月に市場調査を主な目的として試験販売した。この結果,6万3,000円と決して安くはない価格だったにも関わらず,同社が申し込み用に準備したWebページには発表当日だけで200台を大きく超える購入希望申し込みがあったと言う。このため,同社はすぐに申し込みを締め切り,同年4月に100台ずつ2回に分けて製品を出荷した。

図2:全体構成
全体構成


スカラ提供の関連情報:

 ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)の設計・製造に関する技術や今回の試作結果で得たデータを元に,テレビ・DVD視聴といったコンスーマ用途だけではなく,他の機器と接続して放送・医療・工事現場といったビジネス用途への拡大を目指す。
 また2005年9月には「Teleglass」に携帯電話が接続出来る専用ケーブルを開発した。FOMA用ケーブル「C01-D-01」を4,980円で販売開始した。手持ちのFOMAにAV出力機能があれば,手に何も持たずにハンズフリーで好きな映画や音楽ビデオが楽しめる。au用・vodafone用も開発・販売する予定。また,その他のAV機器についても随時対応できるよう開発を進めている。
「Teleglass」に関する詳細情報はこちら



記事要点掲載先:知財Awareness日経BP.JPTech-On!






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