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高い殺菌効果を発揮する銀ゼオライトの応用展開を目指し
エヌ・エフ・ジーが用途開発パートナーを募集


 「銀イオンの殺菌効果を利用して大腸菌やレジオネラ菌を退治する用途開発を進める」。そのためのコア技術として銀イオンの吸着率が80%程度と高い銀ゼオライトの製造技術を持つ株式会社エヌ・エフ・ジー(本社:宮城県仙台市)の代表取締役である本間義朗氏は,用途開発の加速に向けてパートナーを募集するという。
 すでにエヌ・エフ・ジーでは,銀イオン殺菌効果を利用して家庭用の浴槽や温浴施設などの殺菌を行なう3種類の製品を提供している。銀イオンには,塩素の約10倍に相当する殺菌効果があり,水・湯中に含まれる病原菌を殺菌できる。お湯の臭いやにごり,ヌメリ等の発生を抑え,入浴者の皮膚組織を活性化させる働きもある。感染症の予防はもちろんのこと,美容や健康増進にも効果があるというわけだ。

図1:家庭用銀イオン殺菌装置「レジぷか君」
直径は70mm,質量は約50g。
図1:家庭用銀イオン殺菌装置「レジぷか君」

図2:循環回数と殺菌効果
温泉ホテルの協力で,装置を24時間循環風呂の殺菌向けに設置。循環前の温泉水を原水として測定し,開始して約10回循環毎に採水をしてレジオネラ属菌の数を測定,その属菌の減少数の差で殺菌効果を確認した。循環と共に銀イオンの溶出によりレジオネラ属菌が確実に殺菌されているのがわかる。
図2:循環回数と殺菌効果
レジオネラ属菌などに殺菌効果
 銀イオンによる殺菌効果は,厚生労働省監修の「新版 レジオネラ症防止指針」などにも有効な手法の一つとして紹介され,各方面からデータが示されている。
 例えば,岐阜大学の薮内英子教授による検査では,銀イオン濃度とレジオネラ菌の殺菌効果について検証されており,初期菌数が少なければ銀イオン濃度が比較的薄い状態(0.03ppm)でも数分で殺菌できるとの結果が示されている。また,汚染濃度が高い状態(初期菌数=5×10CFU/100ml)では,銀イオン濃度が比較的薄い状態(0.03ppm)で120分,濃い状態(0.16ppm)で30分以内に検出限界値(10CFU/100ml未満)に殺菌されている。塩素との併用では,さらに高い殺菌効果も示されている。
 ただ,塩素に比べコスト高な銀が広く利用されるには,優れた殺菌効果はもちろんのこと,高いコスト・パフォーマンスも求められる。この2つを実現するために,エヌ・エフ・ジーの技術が生かされている。

銀を80%という高濃度で吸着させる
 特許を出願中のその技術は,合成ゼオライトに銀を80%という高濃度で吸着(担持)させるもの。同社の本間義朗氏は,「ゼオライトには多くの気孔があり,そこへ銀を吸着させていく。高い割合で吸着させればさせるほど,銀イオンの効果を長期間持続できる」と説明する。ゼオライト以外にも,セラミックスやステンレスに吸着させる技術もあるが,通常,銀の吸着率は20%程度といわれており,同社の優位性は際立っている。
 ゼオライトには,陽イオン交換機能を有する結晶性アルミノケイ酸塩を採用,水中における銀イオンの発生を効果的に実現している。その分,ランニング・コストを低く抑えることができる。エヌ・エフ・ジーはこうした特徴を生かして,以下に紹介する3つの製品を実用化してきた。

まず,お風呂向けに実用化してきた
 2003年に売り出した「レジぷか君」(図1)は,家庭用の浴槽や洗濯槽の殺菌に利用する銀イオン殺菌ボールだ。「水に浮かべるだけで,浴槽内の殺菌はもちろん,洗濯槽内の雑菌をきれいにできる」(本間氏)という「レジぷか君」だが,同社が行った実証実験でもその実力は証明されている。

 一般家庭の24時間風呂に「レジぷか君」を設置し,設置前から設置後1ヶ月,3ヶ月のレジオネラ菌数を測定。設置前の検査では1,100CFU/100mlだった菌数が,1ヶ月後には10CFU/100ml未満に減り,3ヶ月後も同じ水準を保っている。また,「ヌメリ・水垢を解消し,風呂掃除も簡単になる。さらに,お風呂の水の交換回数を減らすことで,節約にもつながる」(本間氏)と,そのメリットを強調する。残り湯をそのまま洗濯に利用することも可能で,洗濯物の臭いを防ぐ効果もあるという。
 温泉旅館や健康ランドなどの大型温浴施設向けにも,銀イオン殺菌装置を提供している(図2)。温泉水の循環系等に設置して使用する「レジキラー」と,カートリッジ式で装脱着を簡単にした「レジキラーミラクル」の2製品で,約4ヶ月間殺菌効果が持続する。現在までに,老人ホーム,温水プールなどに導入実績があり,今後は「旅館や大型温泉施設,医療機関,介護施設などへ拡大していきたい」(本間氏)と展望を語っている。

用途開発のパートナーを募集
 銀イオンの強い殺菌効果を上手に使えば,例えば食器洗い乾燥機やふとん乾燥機における殺菌へも用途は広がる。また,医療機関における殺菌作業や,発展途上国における感染症予防などへも応用可能ではないかと見られている。エヌ・エフ・ジーでは,「合成ゼオライトに銀イオンを高濃度で吸着させる技術」の応用分野を広げていくために,用途開発パートナーを募集している。現在,東北大学と共同で銀ゼオライトの応用研究も進めているが,こうした共同研究を幅広い産業に広げ,今までにない抗菌・殺菌製品や応用展開を実現したい考えだ。
(山口 健=テクノアソシエーツ)


  エヌ・エフ・ジー 提供の関連資料:
殺菌力,設置方法,殺菌装置需要など各種情報
詳細は下記のPDFファイルをダウンロードししてください。

エヌ・エフ・ジー詳細ファイル(nfg20050322.pdf)

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 用途開発に関する問い合わせ先:
株式会社エヌ・エフ・ジー 
担当:米本
〒981-3133
宮城県仙台市泉区泉中央2-19-11
022(772)9820







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