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パネル・メーカーの事業戦略研究2008

シャープが液晶パネルの外販を強化
第10世代ラインにかける意気込み


[2008/02/05]

 シャープが液晶テレビ事業を有利に進めるため,液晶パネル事業を強化させている。液晶テレビは価格の下落が顕著であり,液晶パネル・メーカーにとって価格下落の影響を軽減するためには基板ガラスを大型化させることが最も効果的である。同社は,2010年3月の稼働を目指して第10世代となるガラス基板製造ラインを大阪・堺に建設を開始した。この計画から同社の液晶パネル事業にかける姿勢をみることができる。その姿勢の表れの1つが「液晶パネルの外販」である。

設備投資を積極化して大阪・堺に第10世代ラインを建設
 シャープは,2005年頃までは “はじめにテレビ事業ありき”として,液晶パネル事業をテレビの高付加価値化のための内製事業の一環として捉えていた。そのため,液晶パネル事業への設備投資は,テレビ事業の規模に応じた投資であった。
 2006年に入り,同社は,2,040億円の無担保転換社債型新株予約権付社債(償還期限2013年9月末日)を発行して資金を調達した。その後,2010年3月の稼働を目指して大阪・堺に液晶コンビナート(第10世代)の建設を開始した。設備投資への積極性を増す姿勢が伺える。2005年までとは逆に,液晶パネル事業にテレビ事業の歩調を合わせるようになった。 

堺コンビナートが得意とするサイズ
 シャープは,堺コンビナートの第10世代ガラス基板(2,850×3,050mm)ラインでしばらくの間は42型を中心に液晶パネルを生産していくという。同社が堺コンビナートで42型を生産する場合,製造コストを抑えることができる半面,「液晶パネルの生産量が自社での消費量を超えるかもしれない」という副作用がある。新たにガラス基板工場に設備投資するということは,液晶パネルを大量に生産することである。その結果,生産した液晶パネルを自社で消費しきれない,という可能性がある。ここで浮かび上がるのが「液晶パネルの外販」である。
 同社は方針として,2009年以降はパネルの外販率を5割超に高めるとしている。他社との連携(外販)を強めていく姿勢だ。

プレミア路線を貫く同社の液晶パネル事業
 同社が液晶パネルの外販先として東芝が既に決定している。現在,テレビ向け画像処理チップを同社に供給する東芝は,従来40〜60型台の液晶パネルをIPSアルファや韓国LG.Philips LCD Co., Ltd.から調達していた。この提携によって液晶パネルの調達先を同社に切り替え,自社ブランド『REGZA』に搭載する。また,資本提携をしたパイオニアが今後液晶テレビをラインナップした場合,液晶パネルの有力な外販先となる可能性がある。
 同社にとってこれら国内テレビ・メーカーとの提携は,自社製液晶パネルの強力な外販先を得るだけでなく,技術交流によってアクオスの高付加価値化を図ることもできる利点がある。同社は液晶パネルの外販先を厳選しているといえる。

50型以上に市場を誘導して堺コンビナートを有効活用
 東芝などに液晶パネルを外販する予定の同社だが,これ以外にも堺コンビナートの液晶パネルの生産適性を最大限に活用する戦略を描いていると見られる。それが,「市場を50型以上に誘導する」である。堺コンビナートの第10世代ラインは,65型液晶パネルを6枚切り出すことができ最も効率が良い。以下57型,42型と続く(図1)。50型以上の液晶テレビは日本よりも北米市場での需要が大きいと見込まれている。同社は,2006年頃から北米でマーケティング活動などを本格化させた。堺コンビナートでは,50型以上の大型液晶パネルを他液晶パネル・メーカーよりも低コストで生産できる。同社は52型,57型,65型といった自社に有利なサイズに市場を誘導して堺コンビナートの生産能力を最大限に活用する考えだろう。

図1:シャープの工場別のパネル切り出し適正の相関
シャープの工場別のパネル切り出し適正の相関

 「LCDパネル・メーカーの事業戦略研究2008」では,こういったシャープの分析に加えて,FPDテレビの最新状況と将来動向を中心に,主要LCDパネル・メーカー5社の事業戦略を事業ミッション,市場認識,技術戦略,製造戦略,製品戦略,販売戦略,事業体制,財務戦略の8項目に分けて多角的に分析した。FPDテレビ業界に関連するパネル・メーカー,部材メーカー,装置メーカーなどに対する指針を示す情報を提供する。

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