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パネル・メーカーの事業戦略研究2007

急速に拡大するLCDテレビ市場,二つに分かれる5社の戦略

[2007/01/26]

 2006年はLCDテレビ市場の拡大が顕著な年だった。しかし,市場は一様に拡大したわけではない。北米・欧州市場は高付加価値製品の売れ行きが好調だったのに対し,BRICsに代表される市場ではコモディティ化が進行している40型未満の製品の売れ行きが本格的に伸び始める予兆を見せた。このような市場ごとに状況が異なる中,パネル・メーカー主要5社の戦略は,自社のブランド力や財務状況,ターゲットとする顧客層などの要因によって大きく二つに分かれた。

 北米・欧州で販売する高付加価値製品を中心にして市場を開拓しているのがシャープとSamsung Electronics Co., Ltd.の2社である。一方,BRICs市場をメイン・ターゲットとして勝負しているのがLG.Philips LCD Co.,Ltd.,AU Optronics Corp.,Chi Mei Optoelectronics Corp.の3社だ。ただし,後者に関しては北米や欧州でのブランド力のある顧客を持たないことと,財務事情の厳しさを反映した消去法的な選択でもある。

LCDテレビの市場拡大と各社の戦略の違いが生む価格下落
 図1は,世界規模でのLCDテレビの台数の推移と価格下落の様子を表したものである。2010年にはLCDテレビの市場規模が1億台を突破する予測になっている。これはすでに業界の常識になったと言っていい。例えば,シャープは2010年に1億5千万台,Samsungは2009年に1億台という予測を立てている。ただしこの2社に関しては,市場に合わせて事業を行なうというよりも,自社が理想的な事業を行なうために積極的に市場を誘導するメーカーである。この値は予想というより努力目標と言える。
 2010年1億台とは,2005年から2010年までの間に台数ベースの市場は5倍以上に増やすことを指す。しかし,こうした拡大を現実にするためには,同期間内に価格を最もボリュームゾーンとなる1,000ドルまで下げる必要がある。

図1:LCDテレビの需要とテレビ価格の推移
(DisplaySearchのデータをもとにテクノアソシエーツで作成)
LCDテレビの需要とテレビ価格の推移

テレビの市場として本格的に成長してきた北米・欧州
 シャープやSamsungが注力する北米・欧州市場は,日本でも放送形式が2011年に完全にデジタルに移行するように放送の完全デジタル化が進められている(北米は2009年2月完全デジタル化予定)。これが消費者に対して「高画質」という訴求点をもったLCDに代表されるFPDテレビが,CRTテレビに取って代わる大きな機会である。北米や欧州市場をメイン・ターゲットとしているテレビ・メーカーはRoyal Philips Electronics N.V.やSamsung,PDPテレビの松下電器産業などだった。遅れをとっていたシャープも2006年から本格的に北米市場でのLCDテレビの展開を開始した。シャープとSamsungは,パネルの大型化やフルHDパネル,高性能の画像処理回路を用いた付加価値の高いテレビに注力している。高付加価値製品を歓迎する北米・欧州市場の高所得者向けの製品比率を高めることによってコモディティ製品との差別化を図り,価格下落が基調であるテレビ市場からの影響を回避しようとしている。

BRICsがいよいよLCDテレビの市場になってきた
 LG.Philips LCD,AU,Chi Meiの3社が注力するBRICs市場は経済発展が著しく,LCDテレビの需要が拡大,パネル・メーカーにとって大きなビジネス・チャンスが生まれてきた。
 このうち中国では,依然としてCRTテレビが強い(2005年時点でFPDテレビ普及率5%)が,FPDテレビは確実にシェアを拡大している。2015年までにテレビ放送の完全デジタル化を予定しており,それに相応しいコンテンツを準備している。北米・欧州のようなFPDテレビの本格的普及が始まれば,2006年時点でのFPDテレビの最大の需要国である欧州を大きく上回る市場に成長するのは確実と見られている。
 LG.Philips LCDは2006年前半までは欧州市場への注力を見せていた。しかし,親会社のPhilipsが持ち株を段階的に手放すという結論に達し,多額の投資が必要な40インチ〜50インチ台以上のサイズを主力と定める選択肢は取れなくなった。また40インチ未満のテレビ用LCDパネルは,BRICsをはじめ,世界各市場で需要の拡大が見込める。こうして同社は,テレビでは32インチの適性が高く,PC用のモニターにも展開が可能な第5.5世代への追加投資を決定した。
 AUOとCMOは,ともに大手テレビ・メーカーのOEMが主な事業であったため,ブランドの構築が不十分であり,ブランド力が重要な高付加価値製品市場への進出は容易ではない。このため,LG.Philips LCDと同様にBRICs市場を選択する格好となった。

 このようにLCDテレビのコモディティ化が進んだことによって収益性の低下が進行する一方で,LCDテレビの市場は拡大の一途を辿っている。パネル・メーカーはそれぞれの戦略によって,市場と製品の棲み分けを進めている。今後もこの傾向は強くなっていく方向である。

 テクノアソシエーツは,これら主要LCDパネル・メーカーを対象とした調査・研究レポート「LCDパネル・メーカーの事業戦略研究2007」を発行した。8つの視点から各社の事業戦略を立体的に比較分析している。2007年2月22日には、本レポート購入者を対象とした研究報告セミナーが開催される。
(品田茂=テクノアソシエーツ)

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