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自動車メーカーの電動車戦略・将来展望 2012-2013

電動車両の市場投入が加速する米国、PHEVの激戦区に
[2012/10/10]


 2012年はプラグインハイブリッド車(PHEV*1)の普及元年になる。中でも、最も激戦区となるのが北米市場だろう。理由は簡単、米国では2013年までに主な大手自動車メーカー各社のPHEVがほぼ出そろうからだ(表1)
 PHEVで最も先行するのが米General Motors(GM)だ。同社は2010年12月にPHEV「Chevrolet Volt(シボレー ボルト)」の販売を開始した。当初は伸び悩んだ販売台数が、各種の奨励策などもあり2012年から急速に増加している。ボルトの好調がこのまま続けば、現在1000〜3000台の月間販売台数が1万台を超える時期もそう遠くないだろう。GMに続いてPHEVを米国で発売したのが、トヨタ自動車だ。2012年2月に製造を開始した同社の「プリウスPHV」は、2012年9月の時点では月に1000台程度売れている模様だ。

表1●米国で2013年までに出そろう主なPHEVの一覧
表1●米国で2013年までに出そろう主なPHEVの一覧(テクノアソシエーツが作成)

燃料の多様化と各社の事業戦略
 ただ米国では、このまますぐに電動車両ばかりにはならない。その最大の理由は、リチウムイオン電池の低コスト化がまだ進んでおらず、どのメーカーの電動車両も車両価格が高いからである。
 もう一つの理由は、米国において消費されるエネルギーが電気を含めて多様化しているからだ。具体的には、電気、天然ガス、エタノールなどがガソリンと軽油に加えて自動車用の燃料として使用されることになる。特に大きなインパクトを与えると思われるのは、国内から産出する安価な天然ガスである。米国ではシェールガスの採掘が1990年代後半から本格的に始まり、現在は米国で消費される天然ガスの25%以上がシェールガス由来となった。天然ガスが自動車用の燃料として使われる場合、@圧縮天然ガス(CNG)をタンクに充填し直接燃焼、A火力発電所で発電した電気を電気自動車(EV)で使用、という2通りの使い方がある。@に関しては、ホンダなど日系企業に加えて米国ビッグスリーも圧縮天然ガスを用いるCNG車を順次市場投入する流れが予想される。Aは従来通りだが、ガスの調達コスト低下の恩恵を受け、電力料金も下がる可能性が高い。このためシェールガスは、間接的ながらEVやPHEVにとっても普及の追い風となるだろう。

象徴的な米Ford Motorの戦略に注目
 このように、米国市場では電動車両の普及もモビリティ燃料多様化の流れの一つとしてとらえる必要がある。当然大手自動車メーカーは電動化も含め、どの燃料が普及するかを見極めながら事業を進めることになる。この流れを最も象徴的に推し進めるのが、米Ford Motor社だ。同社は、「EcoBoost」など小排気量ターボによる低燃費技術を採用した車両に加え、電動車両もEV、ハイブリッド車(HEV)、PHEVすべて製品としてラインアップする計画である。同社はEVとしてコンパクト車の「Focus Electric」と商用車の「Transit Connect Electric」を、PHEVとして中型セダンの「Fusion Energi」とクロスオーバーSUVの「C-MAX Energi」を2012年以降市場投入する(図1)

図1●米Ford Motorの中型セダンPHEV「Fusion Energi」(写真提供:Ford Motor)
図1●米Ford Motorの中型セダンPHEV「Fusion Energi」(写真提供:Ford Motor)

2015年までに電動車両100万台は達成可能か
 米国のEVやPHEVと言えば、オバマ政権が誕生する時の公約として2015年までに100万台のプラグイン電動車両を米国で走行させる、という普及目標が掲げられた。米エネルギー省(DOE)など政府は、この普及目標は達成可能という見方を示している。一方、自動車業界や環境技術分野のアナリストには、2015年までに100万台普及の実現は困難だと言う向きも少なくない。今後、リチウムイオン電池のコスト下落と同時にガソリン価格が高止まりとなれば、実現の可能性は高まる。一方、そういった普及条件が揃わなければ、米国における100万台の電動車両普及は2016年以降まで持ち越しとなるだろう。

 この他にもEV/PHVの普及に向けて、自動車各社の事業戦略、カギとなるリチウムイオン電池技術、充電インフラ整備状況などに関する様々な議論がある。テクノアソシエーツでは、こうした視点で、調査レポート「自動車メーカーの電動車戦略・将来展望 2012-2013」としてまとめ、電動化によって大きく変わる自動車産業を分析・展望している。
(テクノアソシエーツ=大場淳一)

*1:PHEV = Plug-in Hybrid Electric Vehicle. 日本ではPHVと称することが多いが、米国では一般にPHEVの略称が用いられる。



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