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環境・電池の技術ロードマップと利用シーンの将来像

Liイオン電池のロードマップ
2030年以降に容量5〜7倍
コスト1/24の電池が登場


[2009/08/17]


 テクノアソシエーツが報告したLiイオン電池(LIB)の技術ロードマップは,(1)高容量化,(2)高出力化,(3)低コスト化,(4)安全性,(5)高信頼性,の5項目から成る。ここでは,電気自動車や電力貯蔵に使う中・大型のLiイオン電池を対象とする。

 (1)高容量化は,電池の単位重量当たりの容量を表すエネルギー密度(Wh/kg)の推移を予測した。クルマでいえば,搭載する電池のエネルギー密度が高いほど航続距離が長くなる。現在(2009年)は100Wh/kg前後であり,2015〜2020年に黒鉛系負極/酸化物系正極の限界に近い150〜200Wh/kgまで向上,2020年以降はSi合金系負極/新規酸化物系を採用して250〜300Wh/kgを達成する。2030年以降は,Liイオン電池の枠を外れたLi-空気電池,Li-硫黄電池などの革新型蓄電池が登場し,500〜700Wh/kgに達する(図1)。

図1●Liイオン電池のエネルギー密度と出力密度(作成協力:旭化成 吉野彰氏)
図1:Liイオン電池のエネルギー密度と出力密度(作成協力:旭化成 吉野彰氏)


 (2)高出力化は,電池の単位重量当たりの出力を表す出力密度(W/kg)の推移を予測する。クルマでいえば,電池の出力密度が高いほどパワーが出やすくなる。充電時の電流を多く流せることにもなるため,充電時間の短縮にもつながる。現在(2009年)は,2000〜3000W/kg,2015〜2020年に3000〜4000W/kg,2020年以降は4000〜5000W/kgとなるが,そこから先は頭打ちとなり,むしろエネルギー密度の向上に注力されることになる。

 (3)低コスト化は,すべての用途で共通課題となる。特に電気自動車を既存のガソリン車と同等の価格帯に下げるためには,Liイオン電池をコスト・ダウンできるか否かにかかっている。今回のロードマップでは,現在(2009年)の120円/Whからスタートし,2015〜2020年には,小型民生機器向けですでに先行して達成している22円/Whが実現可能となる。2030年には,Liイオン電池ではないLi-空気電池などにより,エネルギー密度で500〜700Wh/kgを達成したことを前提に5円/Whが目標となる。

 (4)安全性に関しては,電池の容量が増えるほど事故の危険性が高くなるため,特に高容量化が進むクルマ向けでは対応策が重要である。材料開発によって,電解液の難燃化,不燃化や過充電にならないような工夫を施していくことになる。

 (5)高信頼性については,安全性と同様の対策によって電池の劣化を抑えるとともに,劣化メカニズムの解明によって寿命を予測する手法を確立することが重要となる。

 そのほか,注目すべきは充電技術の進化である。例えば電気自動車の場合,走行中に非接触で充電できるような技術が確立すれば,高容量の電池を搭載しなくても航続距離を稼げることになるからである(図2)。電磁誘導方式の非接触充電技術はすでに実用レベルにあるが,電力の送信側と受信側の距離を長く取りにくい。そこで次世代技術として期待されるのが,磁場結合共鳴方式である。共鳴現象により,その距離を比較的長く取れる可能性がある。

図2:イメージ:走行中充電システム/充電可能バイパス
図2:イメージ:走行中充電システム/充電可能バイパス


 今回テクノアソシエーツが企画した調査レポート「環境・電池の技術ロードマップと利用シーンの将来像」では,Liイオン電池の進化で変革を遂げるクルマを起点とした将来の人々の生活シーン(利用シーン)を予測,そこで求められる技術的な要件やビジネスの仕組みを分析し,今後のLiイオン電池や周辺システムにおける技術開発の方向性を明らかにするとともにビジネス上の課題を提示する。

(朝倉 博史=テクノアソシエーツ)


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