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ディスプレイ技術編

FEDの技術動向,SED関連で先行する東芝・キヤノン連合を,
韓国Samsungがカーボン・ナノチューブ関連で追撃

[2006/07/06]

 次世代の有力フラットパネル・ディスプレイ(FPD)技術として,有機EL方式と並び注目される電界放出方式(FED)について,特許の側面からその技術動向を調査・分析した結果,東芝とキヤノンが表面電界方式(SED)関連で先行していることが分かった。製造技術とディスプレイ分野で実績の高い東芝と,新技術で家電分野への参入を図るキヤノンは,SEDパネルの生産を手掛ける合併会社「SED株式会社」を2004年に設立し,量産開始予定を2007年7月,同SED搭載テレビの発売を2007年第4四半期としている1 。両社は,知的財産面での蓄積を着実に重ねている。
 しかし,両社を中心としたこのような全体潮流の片隅で,カーボン・ナノチューブ関連特許を中心に韓国Samsungの猛追がすでに始まっている。

※1:株式会社東芝・キヤノン株式会社のプレス・リリース(2006年3月8日)

 図1は,1993年から2005年8月末までの日本における,FED関連特許の出願人別出現頻度(累積値)である。上位には,東芝,キヤノン,ソニー,双葉電子工業が名を連ねるが,これを対2000年の増加率として見ると,韓国Samsungグループの増加率が極めて高いことが分かる(図2)。確かにSamsungグループの場合,増加率を計算する際に母数としている2000年の数値自体が小さいため,こうした数値の比較は必ずしも適切ではないとも言えるが,仮に2004年をベースにしても2005年は2004年の約1.8倍の伸びとなっており,同グループが当該分野へ注力していることが推測できる。

 図3に,Samsungグループの参入技術領域を特許マップ上に示す(赤色部分)。領域1として示した「電界放出素子,電子源等」の領域を中心に,領域2「画像表示装置,製造方法等」にも参入していることが分かる。特に2005年以降は,図3の丸囲み領域を中心に,カーボン・ナノチューブ関連の特許を多く公開している。
 東芝,キヤノンを中心に先行する日本勢ではあるが,Samsungグループなどが進めているカーボン・ナノチューブを使ったFEDは,厚膜技術で安価に形成が可能であり,産業的な観点から優位性を急速に高めていく可能性がある。こうした海外勢の動向については,今後の市場投入のタイミングなどについても注目していく必要があると言える。

 FEDに加え,液晶,プラズマ,有機EL,リアプロといった5つの主要なFPD方式について,特許マップを活用した技術動向分析を「デジタル家電・特許マップ − ディスプレイ技術編」(発行:テクノアソシエーツ)としてまとめた。FPD業界を特許の側面から俯瞰することで,各方式別に技術の繋がりや参入企業を捉えるとともに,そこから見える主要各社の狙いについて考察している。
(三菱総合研究所・科学技術研究本部 研究員 三浦義弘)


【図1】電界放出方式 出願人別出現頻度(上位20組織):累積値
図1:電界放出方式 出願人別出現頻度(上位20組織):累積値

【図2】対2000年増加率
図2:対2000年増加率

【図3】電界放出方式 サムスングループの出願公開(赤色)
図3:電界放出方式 サムスングループの出願公開(赤色)

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