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日韓台FPD企業の事業提携,
将来的に高い組織的結合度は見込めない

[2006/07/28]

 日本・韓国・台湾のフラットパネル・ディスプレイ(FPD)テレビ・メーカーとFPDパネル・メーカーの間で事業提携が活発化している。このような事業提携について,これらがどの程度の組織的な結合度を有する事業提携に発展するかをテクノアソシエーツが分析した結果,将来に渡って事業統合・経営統合といった組織的な結合度の高い提携に至る可能性は少ないことが判明した。事業提携には,両社の組織的な結合度により,通常の取り引きの形態から事業統合・経営統合に至るまで様々なレベルがある。どのレベルまで達するかを調べるため,「投下資源の増大」,特に「大幅な負債の増加」の観点から分析した結果である。

 他社製パネルの採用に慎重であったシャープが,台湾企業からのパネルの調達を決断した。2006年3月からは,数万台/月程度のパネルを,従来より業務提携関係にある台湾Quanta Display Inc.(広輝電子)から調達している。さらに今夏にも,台湾AU Optronics Corp(友達光電),台湾Chi Mei Optoelectronics Corp.(奇美電子)から調達する予定である。2006年にシャープと同じく600万台のLCDテレビの販売を見込むソニーも同様である。韓国Samsung Electronics Co., Ltd.(サムスン電子)とのLCDパネル製造合弁会社であるS-LCD以外からの調達について,現在20インチパネルに限定している韓国や台湾メーカーなどからの調達を,今後は32インチまでに拡張する予定である。船井電機も,2006年2月に,奇美電子とLCDパネルの安定供給を目的とした戦略的提携を行っている。
 台湾LCDパネル・メーカーにも提携の波が押し寄せている。2006年4月には,友達光電が広輝電子を2006年10月に吸収合併することを発表した。
 日本企業と韓国企業の連携については,S-LCDにおいて第7世代ガラス基板を用いるLCDパネル製造で連携しているソニーとサムスン電子が,その連携の度合いを深めている。第7世代ラインに対して約280億円の追加設備投資の実施に加え,第8世代ガラス基板を用いるLCDパネル製造設備の新設についても,すでに合意している。

 一言で「事業提携」と述べても,提携の組織的結合度だけで,通常の取引の形態から,事業統合・経営統合に至るまで様々である。そこで,「投下資源の増大」,特に「大幅な負債増加」から,将来の事業提携の結合度について分析した結果,事業統合・経営統合といった組織的結合度の高い提携に至るとは考えにくいことが判明した。現実的には,長期的な契約の枠組みに,保証金的性格を有する多少の資金供与を交えた形態の提携に止まるものと見られる。
 そのような提携関係の典型が,船井電機と奇美電子の関係である。両社のような提携形態であれば,テレビ・メーカーは,急速に拡大する需要に対応できるだけのパネル供給を確保できるとともに,パネル・メーカーも大口の需要を確保できる。一方で,テレビ・メーカー側のパネル需要とパネル・メーカー側のパネル供給の間で起こりやすい需給アンバランスも起こりにくい。テレビ・メーカー,パネル・メーカー双方とも提携企業以外の企業とも取引を継続しやすいことから,多くのチャネル情報に接触することも可能である。また,テレビ・メーカーからすると,投下資本の過剰な増大を回避できるという点からも望ましい。

 企業の組み合わせ(どの企業同士が),実質的な提携内容(どのような提携を実施するのか)だけでなく,サプライチェーン上のどの部分で結合が行われるのか,という結合形態と組織的結合度などの枠組みによっては,部材,装置メーカーにとっても新たなビジネス機会が生まれる可能性がある。今後は,その動きを注視すべきである。

(テクノアソシエーツ 中村友亮)

図1:事業提携の分類枠組み
図1:事業提携の分類枠組み
注)FPDテレビ・メーカー間の主な提携関係を当てはめたもの。このほか,日本企業が台湾企業にライセンス供与している例や,日本国内で実施されたNECプラズマディスプレイのパイオニアへの売却,富士通米子工場のシャープへの売却等事業譲渡がいくつかある。


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