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クッション材メーカーのシーエンジが
医療・ヘルスケア分野に本格進出

院内感染防止や褥瘡予防が可能な「C−COREクッション」を拡販

[2005/12/16]

 「C−COREクッション」の製造・販売を手掛けるシーエンジが,医療・ヘルスケア分野における事業展開を本格化させる。C−COREクッションはポリエチレンを素材に使ったクッション材で,建築・土木資材,自動車向け部材,衝撃吸収材,植生用マットなどの分野で実用化が進んできた。一方,医療・ヘルスケア分野に関しては個人向けや一部の老人保健施設などへの販売などに留まっていた。今後は医療機関や介護施設などへの普及拡大を「本格的に図っていく」(同社代表取締役高岡伸行氏)構えだ。
 同社が医療・ヘルスケア分野に狙いを定めたのは,「現在,医療機関などで広く使われているウレタン・マットレスには,消毒などのメンテナンスに手間と時間がかかる,廃棄処分が面倒,など多くの欠点を抱えている」(高岡氏)ためである。これに対しC−COREクッションは,(1)洗浄・消毒が容易で通気性に優れる(2)体圧分布が良い(3)耐久性にも優れリサイクルが可能,といった特徴を持つ。
 このような特徴から,医療サービス向上という観点からニーズの高い院内感染の防止や褥瘡(じょくそう)の予防・回復などが期待できるマットレスを作ることが可能である。従来のウレタン素材のクッション材に比べ,ベッドを清潔に保ち,かつ蒸れを防ぐことが可能であり,衛生的な入院環境を提供できる。


洗浄・消毒といったメンテナンス作業の負担を軽減
 (1)の洗浄・消毒・通気については,「乾燥性に優れているので,水洗いが可能。シーツを外して消毒液を噴霧すれば,消毒が完了する」(高岡氏)と言う。このうち洗浄と通気性については,インスタント・ラーメン状の軟質繊維(図1)となっているため,通気性に優れ,乾燥が早い。そのため,洗浄が容易になる。これに対し,ウレタン・マットレスは構造上,通気性が悪い。このため,乾燥に時間がかかり,水洗いが難しい。
 また消毒に関しては,ウレタン・マットレスは蒸気や殺菌ガスによる消毒が行われているが,大型の設備や消毒中の代替マットレスが必要となり,ユーザーの負担が大きかった。アルコールや二酸化塩素などによる噴霧消毒も,「(ウレタン・マットレスは)内部まで消毒液が浸透しにくく,衛生面の不充足感は否めなかった」(高岡氏)。
 一方,C−COREクッションは消毒液がマットレス内部まで浸透しやすいので,消毒液と噴霧器を用意すればベッドを簡単に清潔な状態に保つことができる。作業が短時間で済むので,代替マットレスのストックを減らすことが可能で,大型の消毒設備は必要ない。さらに同社では,大手企業と共同で消毒器と医療用ベッドを一体化させたシステムの開発に乗り出している。これにより,メンテナンスはより簡便化され,院内感染対策の負担軽減が期待できるとしている。

最適な体圧分散で褥瘡を予防
 (2)の体圧分布に関しては,シーエンジでは,バネの強度を3段階に分けて体圧分散試験を実施した。強度別に,スーパーソフト(SS),ソフト(S),スーパーハード(SH)の3種類を作り,最適な体圧分散となるマットレスを開発している。図2に体圧分散の結果を示すが,青い部分が多いほうが褥瘡予防に効果があるとされ,SSがもっとも良好な結果を出している。「体圧分散の最適化と通気性の向上で,褥瘡予防・回復に一定の効果が期待できる。今後,医療機関での採用,実績を増やしていきたい」(高岡氏)と意気込む。
 (3)
の耐久性とリサイクルに関しては,すでに繰返し圧縮残留ひずみ試験を行い,ヘタリの少なさを確認している。また,使用後に粉砕,リペレット(粒化)し(図3),ベッド゙の原料として再利用できることから,「これらの特徴を生かすことで,他の医療機関と入院環境を差別化できるはず」(高岡氏)と見ている。 なお,C−COREクッションを使った製品としては,丸仙工業が「Dolce」シリーズ(図4)のベッドを販売しており,そのリサイクル性,耐久性,環境・安全性が高く評価されて大川家具工業会主催「ホームコントラクトコンペ」(2005年10月)で内閣総理大臣賞を受賞した。また,大塚家具からも「Air Tube」の製品名で販売されている。

図1:C−COREクッションの内部構造
図1:C−COREクッションの内部構造
ポリエチレンをインスタント・ラーメン状などの3次元構造に成形する。用途に応じてバネ強度を自在に調整できる。
図2:体圧分散試験の結果
左からSS(スーパーソフト),S(ソフト),SH(スーパーハード) 体圧分散写真は上から背中,臀部,脚部の順。

図3:左:粉砕品(繊維状)
右:リペレット品(粒状)

図3:左:粉砕品(繊維状) 右:リペレット品(粒状)
図4:大川家具工業会展示会で
内閣総理大臣賞を受賞したベッド「Dolce」

図4:大川家具工業会展示会で内閣総理大臣賞を受賞したベッド「Dolce」


上記記事に関するお問い合わせ先
三菱商事株式会社
中部支社 化学品部 担当:早川

E-mail:hideko.hayakawa@mitsubishicorp.com


記事要点掲載先:日経BP.JP産業イノベーション






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