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日経ヘルスラボレポート

アンチエイジングをキーワードに拡大するコスメシューティカル市場(前編)
皮膚の老化研究の進展が市場拡大を牽引

[2009/08/05]


 機能性食品や飲料,健康志向食品,サプリメント,医薬品など幅広い産業へとアンチエイジング市場が広がりを見せる中,とりわけ盛り上がりを見せているのが医療と美容が融合した「コスメシューティカル」市場である。コスメシューティカルとは,化粧品を意味するコスメティクスと製薬・調剤を意味するファーマシューティカルをあわせた造語。医学的アプローチで効果・効能を検証した化粧品や有効成分などのことを示しており,現在の美容研究や化粧品開発の世界的な趨勢となっている。
 コスメシューティカル市場の中軸の1つが,アンチエイジング機能を中心とした機能性化粧品:アンチエイジング化粧品である。広義の意味では,美容・アンチエイジング効果を謳った機能性食品や飲料,エステティックサロンや美容皮膚科で施される外科的処置やスキンケアなども含む。また,これら商品・サービスの開発や流通を支える機能性素材の開発メーカー,百貨店やドラッグストアなどの流通・小売業者などの広範な企業がプレイヤーとなって市場を形成している。

2008年実績は644億ドル,2013年に1054億ドル規模に成長

 調査会社の富士経済は,スキンケアにおける機能性化粧品はアンチエイジングブランドが牽引し,2008年には1兆円を超えると予想。「本来アンチエイジング機能が求められるリカバリー(表れた老化現象の改善)だけでなく,若年層をターゲットとした初期老化対策のプロテクト(初期段階の老化症状の予防)でも商品投入が活発化し,さらに,アンチエイジング機能とホワイトニング機能を合わせた商品投入が行われるなど,カウンセリング・セルフを問わず各メーカーが注力している」としている。
 また,米国の調査会社BCC Researchが2009年5月に発行した技術市場調査報告書「ANTI-AGING PRODUCTS AND SERVICES: THE GLOBAL MARKET」によると,2008年の世界におけるアンチエイジング製品およびサービスの市場は1622億ドル規模に達した。同報告書は,アンチエイジング市場を,美容(顔の若返り,肌の若返り,ヘアケアおよびボディシェイプ),疾患治療,健康の3セグメントに分類。コスメシューティカル市場に該当する美容セグメントは,2008年の実績は644億ドル,2013年には1054億ドルに到達すると予測している。

4つの老化要因:「加齢」「光老化」「酸化」「老化」

 市場成長の原動力の1つは,皮膚の老化メカニズム研究が進んだことがあるだろう。皮膚の老化は内分泌,ホルモン変化や遺伝的老化などの内的要因と紫外線による光老化に代表する外的要因が主な原因とされ,これらによる表皮,真皮において起きる老化現象のメカニズムと臨床所見の関連も明らかになってきた。
 例えば,神戸大学大学院医学研究科内科系講座皮膚科学分野の船坂陽子准教授は,2009年5月に開催された「第9回日本抗加齢医学会総会」で「老化による抗酸化力低下,紫外線による酸化ストレスの増加がROS(活性酸素種)を増加させ,DNAの変異,シグナル伝達の活性化,たんぱく質の修飾異常などが起き,細胞内外のホメオスタシスが変調をきたし,皮膚の老化を招いている」と説明する。
 また,ロート製薬は,皮膚の老化を「加齢」「光老化」「酸化」「老化」という4つの視点で捉えアプローチしている(図1)。同社によると,「これら4つの要因が互いに影響し合い,その度合いは年齢によって変化する。シミやシワ,たるみなどの肌の表面に見える変化は,4つの要因が複雑に絡み合った結果と考えられる」という。

図1 肌老化に関係する4つの因子:加齢,光老化,酸化,糖化

 今回,これら調査分析について,日経ヘルスラボレポート「アンチエイジング・機能性化粧品の市場・技術動向2009」(発行:テクノアソシエーツ)の中でまとめた。本レポートでは,アンチエイジング研究をリードする有識者や研究者,企業への取材や消費者へのアンケート調査を基にアンチエイジングの市場動向や研究開発動向をレポートしている。加えて,知財調査・コンサルティング会社であるSBIインテクストラの調査協力により,市場のメインプレーヤーである化粧品メーカー,原料メーカーなどの特許出願状況を分析。各社の技術競争力と地域戦略の側面から,アンチエイジング市場の行方を見通す。

(テクノアソシエーツ 笹木雄剛)



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