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素材メーカーが参入して激化する化粧品の研究開発競争 高い技術力で大手企業を追い上げる一丸ファルコス・丸善製薬
[2009/09/03]
アンチエイジング化粧品の研究開発競争は,素材メーカーや異業種も参入し激化する傾向にある。従来の大手化粧品メーカーだけでない点が特徴だ。それは特許出願ランキングや特許の質を図るPCI値(注1)のランキングから読み取ることができる。主要化粧品メーカー8社が占める割合は約36%であり,残る64%は1000社以上の企業・大学・研究機関などが占めている(図1)。
その中で主要8社を追い上げている企業が一丸ファルコスと丸善製薬である(表1)。この2社は,各化粧品メーカーに原料を供給する“素材メーカー”である。2001年4月から化粧品の「全成分表示制度」が始まり,化粧品メーカーは製品に配合する有効成分をすべて開示しなければならなくなった。素材メーカーは,多大なコストをかけて開発した素材を保護するために特許出願を重視するようになった(関連記事)。
「保湿」,「抗炎症」,「美白」で高い研究開発力を示す一丸ファルコス 図2は,アンチエイジングに求められる各機能「紫外線対策」,「抗酸化」,「保湿」,「抗炎症」,「美肌」,「美白」に着目して,一丸ファルコスと丸善製薬の特許出願件数とPCI値をプロットしたレーダーチャートである。 両社は,共に「美肌」機能に特に注力していることが見て取れる。「美白」「抗酸化」「抗炎症」へも注力しており,両社とも似通ったテーマの研究開発を行っている。しかし,「保湿」に着目すると一丸ファルコスが丸善製薬と比較して注力度が高く,さらにPCI値が伸びていることから研究開発力も高いものと考えられ,一丸ファルコスの強みが表れているといえる。同社は,「保湿」,「抗炎症」,「美白」の3機能で,高いPCI値を示す発明を出願・登録しており,アンチエイジング化粧品の研究開発競争で今後の注目企業といえるだろう (表2〜4)。
今回,これら調査分析について,日経ヘルスラボレポート「アンチエイジング・機能性化粧品の市場・技術動向2009」(発行:テクノアソシエーツ)の中でまとめた。本レポートでは,アンチエイジング研究をリードする有識者や研究者,企業への取材や消費者へのアンケート調査を基にアンチエイジングの市場動向や研究開発動向をレポートしている。加えて,知財調査・コンサルティング会社であるSBIインテクストラの調査協力により,市場のメインプレーヤーである化粧品メーカー,原料メーカーなどの特許出願状況を分析。各社の技術競争力と地域戦略の側面から,アンチエイジング市場の行方を見通す。
(テクノアソシエーツ 品田茂)
(注1)PCI®とは PCI®は特許出願データの中で質的要素を示す項目を定量化し,各項目にウェイト付けを行って求められる。つまり,客観的データを用いて特許出願を1件ずつ分析することで,各出願のPCI®値を決定できる。PCI®値が高ければ特許出願の質が高いといえ,PCI®値の合計が高ければ,高い研究開発力を持つといえる。 具体的には「外部からの注目度」「自社の注力度」「明細書の情報」といった項目から算出した値に「特許の権利状態」(ステータスウエイト)を掛け合わせることでPCI®を算出する。 |
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