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パネル・メーカーの事業戦略研究2007

LCDパネル大手5社の資産効率を分析
固定資産の悪化を運転資本で補う

[2007/02/08]

 ここ数年,LCDパネル大手5社の設備投資意欲は旺盛だった。設備投資比率([当期有形固定資産−前期有形固定資産+当期減価償却費]/当期有形固定資産)は,2004年をピークに,10%を超えるような高い状態が続いている(図1)。設備投資額は,減価償却費を大きく上回っており(図2),それに伴って,固定資産は増大を続けている。また,一般的な傾向として,売上高が増大すれば,その分運転資本も増大する。両者の合算によって,投下資本も増大を続けている。
 固定資産,運転資産,投下資本の増大がLCDパネル大手5社の体力にどのような影響を及ぼしつつあるかについて,資産効率を表す資産回転期間(資産が,単位あたりの売上高の何単位分に相当するかを示す指標)に着目したところ,5社に共通の影響が見られた。
 いずれの企業も,固定資産回転期間に大幅な長期化が見られ(図3),固定資産効率は悪化している。この点からすれば,設備投資は,固定資産の増大をもたらしたものの,十分な売上高の増加に結びついておらず,過剰だったということになる。

 固定資産回転期間が長期化する一方,運転資本回転期間は短期化している(図3)。この結果、運転資本と固定資産の合算である投下資本の回転期間の長期化は抑えられている。運転資本の圧縮によってトータルの資産効率の悪化を防いでいるということである。
 運転資本回転期間を短くすることは,売上高の増加局面においては,資金繰りを楽にする反面,売上高の減少局面においては,資金繰りを苦しくする。LCDテレビ市場の急拡大を背景に,LCDパネル需要も急成長している。運転資本回転期間の短縮は,売上高の増加が期待できる局面にある現在の状況ならではの選択と言える。ただし,今後は,LCDパネル需要の伸びの鈍化や価格下落によって,売上高が減少する局面に移行することもありうる。そうなれば,LCDパネル各社は,収益,資金両面で窮する恐れもあり注意が必要である。
 「LCDパネル・メーカーの事業戦略研究 2007」では,主要LCDパネル・メーカー5社の事業戦略を,財務戦略分析を含め,事業ミッション,市場認識,技術戦略,製造戦略,製品戦略,販売戦略,事業体制の8つの項目に分解し,多角的に分析している。部材メーカー,装置メーカーをはじめとするLCD業界の様々な企業が,パネル・メーカー各社といかに付き合っていったらよいのか,指針を示す情報を提供する。
(中村友亮=テクノアソシエーツ)


図1:5社の設備投資比率の推移
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5社の設備投資比率は,2003年以降,2004年をピークに,高い状態が続いている。
参考として,松下電器,ソニーの2005年度の設備投資比率は,それぞれ4%,7%程度。
いずれも,四半期平均値。


図2:減価償却費と設備投資額の推移
画像
各社の設備投資額は,減価償却費を大きく上回って実行されている。
この結果,各社の投下資本は,増加を続けている。


図3:固定資産回転期間と運転資本回転期間の推移
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5社の2004年度から2006年度までの固定資産回転期間と運転資本回転期間を追いかけたもの。2006年度は,シャープが,半期,三星電子,LG.PhilipsLCD,友達光電,奇美電子が,9ヶ月データに基づく。
指標に若干の変化しか見られないシャープを除き,各社とも固定資産回転期間が長期化する一方,運転資本回転期間は,短期化している。運転資本の圧縮によって,全資産の効率性を維持しているのが現状。

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