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アスタキサンチンがドーパミン神経の細胞死を抑制
パーキンソン病の予防や進行抑制の可能性も

[2008/07/28]


 天然の色素成分であるカロテノイドの一種「アスタキサンチン」が,パーキンソン病関連たんぱく質の酸化を抑え,パーキンソン病の原因の一つであるドーパミン神経細胞の細胞死(アポトーシス)を抑制することがわかった。ヤマハ発動機と順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座の白澤卓二教授,東京都老人総合研究所のグループが,7月9日の第31回日本神経科学大会で発表した。

 パーキンソン病は,脳の神経が変性して起こる疾患で,加齢とともに増加する。脳の線条体といわれる部分に多く存在する神経伝達物質「ドーパミン」が欠乏して発症する病気だ。この欠乏は,ドーパミン神経が壊れて起こることがわかっている。ドーパミン神経の変性や消失は,神経細胞内のミトコンドリアの機能不全により酸化ストレスが増大することが,その原因の一つといわれている。
 また,パーキンソン病患者では,酸化されたDJ-1といわれるたんぱく質が多く見られるようになることがわかっている。DJ-1は,抗酸化作用を持つたんぱく質で,ドーパミン神経の酸化ストレスを緩和する働きがあると考えられている。しかし,酸化されたDJ-1たんぱく質は,この抗酸化の機能を失ってしまう。つまり,酸化型DJ-1たんぱく質の増大はドーパミン神経の細胞死(アポトーシス)を増長すると考えられている。
 一方,アスタキサンチンは,サケやイクラ,エビ,カニ,オキアミなどに多く含まれる天然の色素成分で,強力な抗酸化力を持つ。活性酸素の一つである一重項酸素を無害化する作用は,ビタミンEの約25倍,ビタミンCの約90倍という報告もある。また,アスタキサンチンは血液脳関門を通り,脳内で神経細胞に直接働くと考えられている。


アスタキサンチン処理で細胞の生存率が向上

 これらのことから,今回の研究では,アスタキサンチンがドーパミン神経の酸化ストレスを改善し,アポトーシスを抑えるかどうかが検討された。
 研究では,まず培養した神経芽細胞に呼吸鎖阻害剤,ロテノンを添加して酸化ストレスを発生させ,細胞から抽出したDJ-1たんぱく質がどの程度酸化されているかをみた。その結果,ロテノンの添加前にアスタキサンチンを加えておいた細胞では,DJ-1の酸化が抑えられることがわかった(図1)。
 また,同様にアスタキサンチン処理細胞と処理していない細胞にロテノンを加えたときの細胞の生存率を見ると,アスタキサンチンを処理した細胞では,アスタキサンチン量が多いほど生存率が高まった(図2)。
 ヤマハ発動機の辻晋司研究員は,「今回の実験で,アスタキサンチンが細胞レベルでパーキンソン病関連たんぱく質DJ-1の酸化を抑え,アポトーシスを抑制することを確認した。この成果は,アスタキサンチンがパーキンソン病の予防にも有効である可能性を示唆している」と話す。

 パーキンソン病は,神経変性疾患としては,アルツハイマー病に次いで有病率が高く,人口10万人当たり約100人が罹患しているという報告がある病気。今後の研究成果が期待される。


図1 パーキンソン病関連たんぱく質「DJ-1」に対するアスタキサンチンの効果
図1 パーキンソン病関連タンパク質(DJ-1)に対する効果


図2 細胞生存率(Alamar blue assay)
図2 細胞生存率(Alamar blue assay)



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